「民間ビジネスに育てる」
UIの進化だけでなく、Bluetoothや無線LANの通信機能、GPSや加速度センサーも一体化し、さらにアプリやウィジェットでより使い勝手や活用領域を広げられるタブレット端末。携帯電話やPCしかなかった時代と比べると、それはまさに“端末のバリアフリー化”と表現していいだろう。
もちろん、端末が進化したとは言えまだまだ課題は尽きない。交付金で実施するプロジェクトを「民間の仕事として成り立つ仕組みに仕上げていく」のはこれからだ。
中でも最大の懸念は通信コストである。アプリやシステムの開発はできても、こればかりは通信キャリアの努力に期待するしかない泉氏は「学割があるのだから、高齢者割引があってもいいのに」とこぼす。
iPadや各種Androidタブレット等の登場は、通信キャリアをはじめモバイルソリューションを提供するあらゆる事業者にとって、大きなポテンシャルを秘めた高齢者市場を開拓する好機だ。そのためには、この親しみやすい端末を高齢者に周知しサポートする仕組みが不可欠だ。
かつてのような“冷たいソリューション”ではなく、利用者にも事業者にも有益な高齢者向けソリューションとは何か。「きづな」プロジェクトはそのヒントになりそうだ。
なお、取材後の3月11日に発生した東日本大地震の際は都内でも大きな混乱が発生したが、前述のメッセージ交換の仕組みが高齢者の安否確認などに活躍したそうである。