<特集>周波数割当のこれからsXGPが帯域倍増で新用途 “ポストPHS”は進化の第2フェーズへ

2023年3月末にサービスが終了する公衆PHSの跡地(1.9GHz帯)は、無線局免許が不要なDECTおよびsXGPの帯域拡張に活用される。チャネル数の拡大と広帯域化は、両規格の市場拡大への追い風となる。

2020年7月に個人向けサービスが終了し、2023年3月末には法人向けテレメタリングサービスも終わりを迎える公衆PHS。25年以上続いたその歴史に幕が降ろされる。

これによって空く1.9GHz帯は、これまでも同帯域の一部を共用してきた、無線局免許が不要なデジタルコードレス電話規格「DECT」、並びにプライベートLTE規格「sXGP」の増波に使われる。「公衆PHS跡地」の有効活用に向けては情報通信審議会 情報通信技術分科会 陸上無線通信委員会 デジタルコードレス電話作業班で技術的条件の検討が進められてきたが、その意義についてXGPフォーラム adhoc22 SWGメンバーの上山星人氏は、「PHSが医療現場等でこれまで果たしてきた役割を継承しつつ、この1.9GHz帯を、新たな現場ニーズに応える新方式へ置き換える」と語る。

XGPフォーラム adhoc22 SWGメンバー 上山星人氏

XGPフォーラム adhoc22 SWGメンバー 上山星人氏

12.6MHz幅を3規格で共用

1.9GHz帯とは、携帯電話で使われている1.7GHz帯と2GHz帯の間に位置する1880~1920MHzの40MHz幅のことだ。

このうち1893.5~1906.1MHz(図表の共用周波数帯)には1993年以降、無線局免許を要しない「デジタルコードレス電話の無線局」として次の3方式が導入され、公衆PHSと周波数を共用するかたちで使われてきた。

図表 公衆PHS跡地の周波数配置案

図表 公衆PHS跡地の周波数配置案

最初に導入されたのが狭帯域の自営PHS(構内PHS)で、2010年には広帯域システムのDECT方式が、2017年にはTD-LTE方式(sXGP方式)が導入された。DECT/sXGP側が送信を開始する前に、PHSで同じ制御チャネルを使用していないかを確認するキャリアセンスの仕組みによって電波干渉を回避。また、DECTとsXGPは時分割方式を採用しているため、電波送出タイミングを分けることで共存している。

ただし、自営PHSとの干渉回避のためにsXGPが使えないケースが多く、これを解消するため、2020年にはsXGPの帯域が拡張され、共用周波数帯の下方と上方に各5MHz幅が追加で割り当てられた(緑色のF1とF2)。公衆PHSと周波数を共用するかたちだが、当時すでに同サービスは縮小しており、データ通信用途に限られた公衆PHSとの重複の影響は抑えられている。

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