「発信」「気づき」「つながり」で組織の壁を打ち破る《4-1》NextiのキラーコンテンツはQ&A――NTTデータ流ソーシャルテクノロジー

「Twitter」や「SNS」に代表されるソーシャルテクノロジーが、企業でも使われ始めた。厳しい経営環境を乗り切るために、組織へ組み込み、コミュニケーションの活性化に役立てようとする企業も現れている。本連載では、2009年のダボス会議で「持続可能な100社」に選ばれたNTTデータの取り組みを中心に、ソーシャルテクノロジーのメリットから活用のポイントを分かりやすく紹介する。

4.1.4 ナレッジコンシェルジュ

先の事例で紹介した通り、NextiのQ&Aには現在、多様な質問が投稿され、その多くに有効な回答が素早く付きます。ただし、Nextiの立ち上げ直後からそうだったかというと、そうではありません。

Q&Aは当初、「Nextiの使い方」に限定した質問しか扱わないと勘違いされていました。そこで活用法と効果を知ってもらうため、運営チームが“サクラ”的なQ&Aを何度か繰り返しました。それ以降、ユーザーからの質問投稿や回答が活発化していきました。

もちろん現在でも、一部の質問は回答が付かないまま、各ユーザーの個人トップページに表示される「Q&A掲載リスト」から落ちてしまうようなものもあります(「過去Q&Aリスト」として参照可能)。この点に対しては、「全社員の知恵でひとりの課題を解決する!」という思いの下に、人と人をつなぐことで全社員の知恵を流通させることを目的とした「ナレッジコンシェルジュ」というボランタリーな活動が発足しています。

活動内容は、有効な回答が付かないQ&Aがあると、ナレッジコンシェルジュとして活動しているメンバーがメーリングリストによって情報を共有。そして、コンシェルジュメンバーの知り合いで回答できそうな人がいる場合は、その人に回答を依頼するというものです。既に50名を超える規模となり、メンバーの活躍によって効果を上げています。

4.1.5 コレがオススメ!

次に、Nextiにおける日記やコミュニティの活用事例を紹介します。

SNSはその機能の特性上、ストックよりもフローの議論に向いたツールと言われています。Nextiも同様で、各種検索機能を備えていますが、あまり活用されているとは言えず、フローの議論が中心となっています。ただし、Nextiには、そんな埋もれがちな話題を再発見してくれる人気コミュニティ「コレがオススメ!」があります。

コレがオススメ!は、「Nexti内であなたが見つけたおもしろいコミュニティや日記、盛り上がっているところなど、ぜひ他の人とも共有したいネタを教えてください」という趣旨で始まったコミュニティです。いわば、Nextiに実装されていないレコメンデーション(お勧め)機能を、ユーザー同士のコミュニケーションによって実現したものです。さらに、“B級”な姉妹コミュニティ「アレもオススメ?」も立ち上がり、日々、情報が活発に交換されています。

4-5 埋もれがちな話題を再発見できる「これがオススメ!」
図4-5 埋もれがちな話題を再発見できる「これがオススメ!」

4.1.6 Twitterの日

2009年10月16日は「Twitterの日」です。でも、“へぇ”と思って、Googleで検索しても恐らくヒットしてこないでしょう。実は、Nexti上だけの話です。図4-6にあるように「(今日はTwitterのようにNextiを使ってみる日)」として、日記タイトル欄だけを使いTwitterのようにつぶやく“お遊び”が流行った日でした。

図4-6 Nexti流Twitterが機能拡張のアイデアから社内のコミュニケーション文化にわたる話題にまで浸透
図4-6 Nexti流Twitterが機能拡張のアイデアから社内のコミュニケーション文化にわたる話題にまで浸透

ひとりのユーザーがユルく始めたところ、多くのヘビーユーザーが追随し、多くの人にとっては全く無意味なつぶやきが200件以上も発生し、新着日記一覧が機能しない“オワタ”状態にまでなりました。「他の日記が探せなくなるからやめて欲しい」というネガティブな反応も一部ありました。しかし、この他愛もないやりとりからコミュニケーションの幅が拡大し、今ではNextiの機能拡張のアイデアから社内のコミュニケーション文化のような話題にまで広がっています。

(連載目次はこちら

NTTデータ流ソーシャルテクノロジーNTTデータ流 ソーシャルテクノロジー
~「発信」「気づき」「つながり」で組織の壁を打ち破る~

■Nexti運営メンバー有志(著)
■新書版 132ページ
■定価:1,050円(税込)(本体:1,000円)
■ISBN:978-4-89797-843-7

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本連載は、2010年1月にリックテレコムから発行されたソリューションIT新書『NTTデータ流ソーシャルテクノロジー ~「発信」「気づき」「つながり」で組織の壁を打ち破る~』(著者・Nexti運営メンバー有志)を転載したものです。

金子 崇之(かねこ・たかゆき)
株式会社NTTデータ 基盤システム事業本部
1999年、NTTデータ入社。技術支援部署に所属し、オープンソースについての検証や技術支援に従事。現在は基盤系ビジネスの拡大に携わる。
NTTデータ先端技術への出向をきっかけとして、NTTデータの社内改革プログラム「X-NEXT」でNextiのグループ展開を提案。同活動のオーナーとして活動している。

吉田 英敬(よしだ・ひでたか)
株式会社NTTデータ 第一公共システム事業本部
1997年、NTTデータ通信入社。システム科学研究所において、社会と生活の情報化に関する調査研究を経て、総務省地域SNS実証実験等のプロジェクトに参画。
現部署に異動した後は、営業として自治体の情報化に関する企画提案に携わる。Nextiの運用・問合せ対応メンバーのひとりとして活動する。

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