「発信」「気づき」「つながり」で組織の壁を打ち破る《4-1》NextiのキラーコンテンツはQ&A――NTTデータ流ソーシャルテクノロジー

「Twitter」や「SNS」に代表されるソーシャルテクノロジーが、企業でも使われ始めた。厳しい経営環境を乗り切るために、組織へ組み込み、コミュニケーションの活性化に役立てようとする企業も現れている。本連載では、2009年のダボス会議で「持続可能な100社」に選ばれたNTTデータの取り組みを中心に、ソーシャルテクノロジーのメリットから活用のポイントを分かりやすく紹介する。

4.1.2 Q&A活用の特徴は解決までのスピード

NextiにおけるQ&A活用の特徴には、解決までの早さが挙げられます。最初に紹介したソリューション照会の事例もそうですが、質問が投稿されてから早ければ数分、遅くともその日のうちに有用な回答が得られる場合がほとんどです。

これには、大きく2つ理由があります。ひとつは発言における敷居の低さです。Nextiでは、Q&Aに限らず全ての機能において、業務に関係しない“Offの利用”を公式に認めていることもあり、ユルい雰囲気を醸し出しています。この雰囲気が、発言への敷居の低さに一役買っており、必ずしも回答内容に自信がなくても、発言してみようという気にさせるポイントです。

もうひとつの理由は閲覧数の多さです。とりあえず閲覧する人が多ければ、それがそのまま回答者の数につながるため、それだけ有用な回答の数も増えるわけです。実際、投稿した質問は、全ユーザーのトップページの最も目立つところに掲載されるため、閲覧者が1日500人を超えることも珍しくありません。質問者はこの“足あと”の増加を見て驚くことになります。やはり、“Offの利用”を認めていることが閲覧数の多さにつながっていると言えるでしょう。

これらのことを象徴する具体的な事例を紹介します(図4-3参照)。この例では、「フロアの扉の開閉が重いのですが、どこに連絡すれば良いのでしょうか」という質問に対して、50分ほどで回答が付いているのが分かります。さらに、連絡先を教えるだけでなく、「受け付けているか確かめようと思って電話したら出てくれたので、ついでに依頼しておきました」と連絡対応まで済ませてくれています。

図4-3 連絡先の情報だけでなく必要な対応までも回答者が手配
図4-3 連絡先の情報だけでなく必要な対応までも回答者が手配

図4-4も同様な事例です。質問者は、システム端末を増設してくれた顧客に対し、従来通りノベルティのマウスパッドを配布しようとしましたが、1枚だけ足りません。既に会社指定のノベルティからは外れていたため、正規の在庫はないという状況です。そこで、「どこかに余ってないですか」とNextiのQ&Aに助けを求めたところ、40分後には「あります」との回答が付きました。しかも、質問者と回答者が同じビル内であったこともあり、わずか1時間で目当てのマウスパットが質問者の手元に届くというスピード解決となりました。

図4-4 小回りを利かせた対応によりわずか1時間で問題が解決
図4-4 小回りを利かせた対応によりわずか1時間で問題が解決

これらの事例でも分かるように、企業で働く社員は日々の業務において、ひとりでは解決できない(できるとしても時間のかかる)、様々な課題を抱えています。そうした課題を迅速に解決し、成果につなげたり、ムダな動きを省くため、社内にある多様な知識・経験をどのように集めるのか。社内SNSというソーシャルテクノロジーが、その有効な解決策のひとつであることは間違いないでしょう。

4.1.3 ムダの効用

Nextiは、OnとOffの混在という点に大きな特徴があります。大きく括ると、前者は仕事関連で、後者はプライベート(趣味など)という分類になり、コミュニティもOnとOffのカテゴリから分類・検索できるようになっています。

前述の通り、Offの利用を公式に認めていることによって、Nextiのアクセス数は大きく増加しています。ただし、それだけではなく一見、業務とは何の関係もないような雑談や趣味の類の話題が企業活動に貢献する、いわば“ムダの効用”が発現しているケースもしばしば見られます。

具体的な事例を紹介します。Offカテゴリの人気コミュニティのひとつに、千葉ロッテマリーンズのファンコミュニティがありますが、そこでの出来事です。

NTTデータの取引先の一社に千葉ロッテマリーンズ球団があり、先方から「ファン向けインターネットサイトをどう運営したら良いか」と相談がありました。NTTデータの営業担当者はNextiに参加していましたので、千葉ロッテマリーンズのファンコミュニティがあるのを見つけると、早速、コミュニティメンバーと交流会(オフ会)を企画し、熱いファンからの生の声をヒアリングできました。その結果、具体的なアイデアを盛り込んだ提案ができ、お客様に大変喜ばれたということです。

本連載は、2010年1月にリックテレコムから発行されたソリューションIT新書『NTTデータ流ソーシャルテクノロジー ~「発信」「気づき」「つながり」で組織の壁を打ち破る~』(著者・Nexti運営メンバー有志)を転載したものです。

金子 崇之(かねこ・たかゆき)
株式会社NTTデータ 基盤システム事業本部
1999年、NTTデータ入社。技術支援部署に所属し、オープンソースについての検証や技術支援に従事。現在は基盤系ビジネスの拡大に携わる。
NTTデータ先端技術への出向をきっかけとして、NTTデータの社内改革プログラム「X-NEXT」でNextiのグループ展開を提案。同活動のオーナーとして活動している。

吉田 英敬(よしだ・ひでたか)
株式会社NTTデータ 第一公共システム事業本部
1997年、NTTデータ通信入社。システム科学研究所において、社会と生活の情報化に関する調査研究を経て、総務省地域SNS実証実験等のプロジェクトに参画。
現部署に異動した後は、営業として自治体の情報化に関する企画提案に携わる。Nextiの運用・問合せ対応メンバーのひとりとして活動する。

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