「発信」「気づき」「つながり」で組織の壁を打ち破る《4-1》NextiのキラーコンテンツはQ&A――NTTデータ流ソーシャルテクノロジー

「Twitter」や「SNS」に代表されるソーシャルテクノロジーが、企業でも使われ始めた。厳しい経営環境を乗り切るために、組織へ組み込み、コミュニケーションの活性化に役立てようとする企業も現れている。本連載では、2009年のダボス会議で「持続可能な100社」に選ばれたNTTデータの取り組みを中心に、ソーシャルテクノロジーのメリットから活用のポイントを分かりやすく紹介する。

本章では、NTTデータの社内SNS「Nexti」の活用事例と、Nextiのグループ展開について紹介していきます。

Nextiの代表的な機能には日記やコミュニティなどがありますが、何と言っても、キラーコンテンツはQ&Aです。凝った機能を持っているわけでもなく、日記形式で質問を投稿すると全ユーザーの個人トップページに表示されるだけのものです。しかし、そのシンプルさが逆に利用者の工夫を生み、様々な用途で使われるようになったことで、大きな効果を上げた例もあります。

4.1.1 人を探す・見つける「ノウフー(Know-Who)」

Q&Aの有効な活用法のひとつは、ずばり「人探し」です。情報やノウハウ(Know-How)そのものではなく、それらを体得している“人”を探す(知る)、つまり、ノウフー(Know-Who)としてです。 例えば、以下の事例などが典型です。

ある社員が、NTTデータのCTI/CRM製品「VOISTAGE」のIVR(音声応答システム)機能について、社外の友人から問い合わせを受け、「情報を知る担当者の情報、または、その情報自体を持っている人いませんか」という質問(Q)を投稿したところ、わずか40分で最初の回答(A)を得ています。

その後も自社のIVRソリューションを紹介したり、社内の商品情報提供システムの利用を勧める回答がいくつも寄せられ、質問者には有益だったようです。実際、こうした迅速な応対が功を奏したのか、質問を投稿した5日後には、質問者の友人とソリューション担当者が連絡先を交換し、最終的に商談につながることになりました(図4-1参照)。

図4-1 投稿からわずか40分で最初の回答が

もうひとつ別の事例を紹介します。図4-2の事例は、Q&Aで「あるお客様が敷地内にソフトバンクとauのショップに加えて、ドコモショップを作りたいと話しています。これを、どうしたら実現できるかご存知の方いますか?」」と質問した時のものです。最初にあった回答が「ドコモの副社長に問い合わせてみます。」という、NTTデータの山下徹社長からのコメントでした。

図4-2 社長を含め様々な層からKnow-Whoの情報がもたらされる
図4-2 社長を含め様々な層からKnow-Whoの情報がもたらされる

このように、社長も“1ユーザー”(ただし社内で最もアンテナの広いユーザー)としてコメントするなど、時には経営層までもが参画して、NTTデータ全体のKnow-WhoがNexti上で交換されています。

本連載は、2010年1月にリックテレコムから発行されたソリューションIT新書『NTTデータ流ソーシャルテクノロジー ~「発信」「気づき」「つながり」で組織の壁を打ち破る~』(著者・Nexti運営メンバー有志)を転載したものです。

金子 崇之(かねこ・たかゆき)
株式会社NTTデータ 基盤システム事業本部
1999年、NTTデータ入社。技術支援部署に所属し、オープンソースについての検証や技術支援に従事。現在は基盤系ビジネスの拡大に携わる。
NTTデータ先端技術への出向をきっかけとして、NTTデータの社内改革プログラム「X-NEXT」でNextiのグループ展開を提案。同活動のオーナーとして活動している。

吉田 英敬(よしだ・ひでたか)
株式会社NTTデータ 第一公共システム事業本部
1997年、NTTデータ通信入社。システム科学研究所において、社会と生活の情報化に関する調査研究を経て、総務省地域SNS実証実験等のプロジェクトに参画。
現部署に異動した後は、営業として自治体の情報化に関する企画提案に携わる。Nextiの運用・問合せ対応メンバーのひとりとして活動する。

RELATED ARTICLE関連記事

SPECIAL TOPICスペシャルトピック

スペシャルトピック一覧

FEATURE特集

NEW ARTICLES新着記事

記事一覧

WHITE PAPERホワイトペーパー

ホワイトペーパー一覧
×
無料会員登録

無料会員登録をすると、本サイトのすべての記事を閲覧いただけます。
また、最新記事やイベント・セミナーの情報など、ビジネスに役立つ情報を掲載したメールマガジンをお届けいたします。