製造や建設、医療、漁業、農業などの現場では、映像の活用によるDXが進められている。その背景にあるのが、ローカル5Gや5G、Wi-Fi6など、ネットワークの広帯域化である。その一方で、高軌道衛星通信回線のような狭帯域ネットワークしかない現場も残されている。こうした幅広い状況に対応し、高画質高性能の安定した映像伝送を実現するのがハイテクインターのビデオエンコーダ/デコーダ「LLC-4000」だ。
図 LLC-4000の使用イメージ
LLC-4000は低遅延と狭帯域 2つのモードを備えた映像伝送装置
同製品はスイッチで切り替えるだけでエンコーダとしてもデコーダとしても使用できる。最大の特徴は「低遅延モードと狭帯域モードを搭載していること」と映像事業部 部長の畠中啓氏は語る。
低遅延モードは、ローカル5Gや5G等の広帯域回線において、60フレームレートの4K映像をコーデック遅延50msで伝送する。フレームレートが下がると処理時間は増えるが、「極めて低遅延で処理できる」(畠中氏)。狭帯域モードは、これまで映像伝送するのが難しかった100kbps以下の通信回線においても良好な映像伝送を実現。20kbpsから圧縮映像が伝送できる。
また、いずれのモードにおいてもピークビットレートを超えないレート制御を実装している。「特に衛星回線やレートが変動する通信回線でも、映像を安定的に流すことができます」(畠中氏)。
誤り訂正機能と再送制御機能をサポートしていることも特徴だ。不安定な通信回線でも安定的に映像が伝送できる「SRT」に対応するだけではなく、RTP/UDP等のプロトコルについては、FEC(誤り訂正)、ARQ(再送制御)をサポートしている。
さらに2Kのストリームであれば最大4ストリームを受信して、4分割の映像表示ができるのはもちろん、その中から1本を選んで画面に表示するという機能も装備している。
映像の入出力はHDMIインタフェース、またイーサネットの標準的なインタフェースを採用しており、衛星モデムやLTEのルータなどを設置すれば、複数のネットワークに対応可能だ。「USBポートもついているので、USBマイクから音声を入力したり、その音声をモニタとは別の音声機器に出力するという使い方もできます」(畠中氏)
ハイテクインター 映像事業部 部長 畠中啓氏
屋内設置型は年内に発売予定 携帯タイプや車載タイプも計画
活躍が期待できるのが、衛星通信を活用した映像伝送だ。数Mbpsの中軌道・低軌道衛星通信はもちろん、数十から数百kbpsの高軌道衛星通信でも、4K映像や音声の安定伝送が可能だ。「LLC-4000のベースとなった狭帯域の映像伝送装置では無人航空機やヘリコプター、船舶などからの通信実績はすでに豊富にあります」と畠中氏。また、建設現場における重機の遠隔操縦や作業指示を行うシステムへの採用ニーズも高い。そのほかにも医療映像の遠隔配信、LTEや5Gを活用した被災地の現場状況のライブ配信、さらには放送中継映像の折り返し確認などへの活用が期待されている。
LLC-4000は屋内設置型だが、今後は携帯できるタイプや重機に搭載できる車載タイプについても開発を予定しているという。映像を活用したDXを検討している企業は、ぜひ、候補の一つとしてチェックしてほしい。
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ハイテクインター株式会社
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