高速大容量化を続ける通信ネットワーク。現在多くのユーザーが利用している無線LAN規格はWi-Fi 6であり、最大9.6Gbpsを誇る。ところが、Wi-Fiルーターなど無線部分だけをアップデートしてもネットワークは高速化できない。メタルケーブルの現状の主流であるCat.5eやCat.6といった規格の最高速度は1Gbpsであり、有線部分がボトルネックになってしまう恐れがあるのだ。「速度だけの問題ではありません。通信ケーブルは高速大容量のデータを流す際、隣に敷設したケーブルに信号が漏れる『エイリアンクロストーク』が発生します。Wi-Fi 6(NBASE-T)で構築する際に、Cat.5eやCat.6のケーブルを複数一緒に敷設すると、外来漏話のリスクが高まります」と日本製線 取締役 開発部 Managerの浅香芳晴氏は述べる。
そこで今、多くの企業が10Gbpsへの対応と、エイリアンクロストーク対策が施されているCat.6A規格のメタルケーブルの採用を進めている。「オフィスだけでなく、マンションや住宅でも10ギガ配線が増えてきており、ハウスメーカーや施工業者などでも検討が進んでいます。当社でもCat.6Aの採用は徐々に増えており、今後はCat.5eやCat.6を上回るでしょう」と日本製線 取締役 営業本部長の辻堅一郎氏は話す。
日本製線 取締役 開発部 Manager 浅香芳晴氏(右)、同 取締役 営業本部長 辻堅一郎氏
内部に不連続遮蔽テープ プラグやジャックも内製
本格化するCat.6Aへの需要に応えるため、日本製線は幹線ケーブルとして大きく4つのCat.6Aケーブルを用意している(図表)。ケーブル断面積については24AWGもしくは26AWG、シールドの有無でケーブルが選定できる。特にU/UTPについては、内部に不連続遮蔽テープを組み込むことで他ケーブルへの信号漏洩を防いでおり、エイリアンクロストーク対策を徹底できることだ。
図表 日本製線の主なCat.6A製品
また、「Cat.6Aのケーブルは太くて施工しにくいと思われがちですが、当社は75m以下の最大配線長であれば外径を6㎜まで細くすることに成功しました。現場の7~8割は75m以下で間に合うと言われていることもあり、同じCat.6A製品群の中でも簡単に扱えると好評です」と浅香氏は解説する。ケーブル外径が細くなれば取り回しもしやすくなり、従来のCat.6Aコネクタより小さくてコンパクトなものが付けられるようになりコストが下がる。こうした点は日本製線のソリューションの魅力だと言える。
そのほかに、施工業者が気になるのは規格通りの通信速度を実現できるか、プラグやジャックなどの取り付け作業は容易か、などだろう。「我々は自社工場で10ギガ伝送をするために必要な検証を実施してから出荷しています。さらに、壁のコンセント内で斜め60度方向に実装できるJJアダプタも自社で製造しており、住宅などの現場では当社で両端プラグ加工したケーブルの片方をハブ、片方を壁のコンセントにつなぐだけで施工が完了します」と辻氏は紹介する。
ネットワークの高速大容量化は今後もますます進んでいく。有線部分はCat.6Aのケーブルが主流になっていくが、確かな安定性と施工面まで配慮された日本製線のケーブルは有力な選択肢になるだろう。
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