データセンターの建設ラッシュである。
調査会社のIDC Japanによれば、2019年頃から国内では事業者データセンターの新設が相次いでおり、2021年時点では263万400平方メートルだった国内における事業者データセンターの延床面積の合計は、年平均8.2%で成長し、2026年には390万5100平方メートルへ増加すると予測されている。
5年間で東京ドーム約27個分も建設される計算だ。
特にデータセンターの建設が相次いでいるのが、東京と大阪といった大都市近郊である。例えば千葉県印西市では2020 年に英Coltデータセンターサービス、東京都府中市でも2020年にソフトバンクが大型データセンターを建設した。大阪では2021年に米エクイニクスや米デジタルリアリティなどが大型データセンターを建設している。
もちろん床面積だけではなく、データセンターサービス市場の拡大も続いている。2021年度は前年比11.6%増の1兆7341億円だ(図表1)。また、2020~2025年の年間平均成長率は12.5%と、今後も高い成長率を実現する見込みで、2025年の市場規模は2兆7987億円になると予測している。
図表1 国内データセンターサービス市場予測
市場をけん引するのはハイパースケーラーだ。IDC Japan リサーチマネージャーの伊藤未明氏によれば、データセンターサービスは大きく2種類に分かれる。1つはデータセンターからSaaSなどを提供する「クラウド型」で、主にハイパースケーラーが提供している。
もう1つはデータセンターのスペースを貸し出し、企業がサーバーなどを持ち込む「コロケーション」などの非クラウド型のサービスだが、「両者の成長率は天と地ほども違う」と伊藤氏は明かす。
「クラウド型が年20%ほどで、非クラウド型は年数%ほど。全体の市場規模でも、近年はクラウド型が非クラウド型を追い越しており、今後もこの傾向が続けばデータセンターサービス市場の大半がクラウド型になっていく」
クラウド型サービスが圧倒的に成長している背景には、「ビジネスの形がそれだけ変わった」(伊藤氏)ことがある。ハイパースケーラーによるクラウドサービスがデータセンター市場を引っ張る傾向は当面続くと見て間違いないだろう。