3.3.2 工夫を凝らしたNextiの4つの特徴
Nextiの機能面を見ると、一般的なSNSと大差はありません。早期のオープンを優先し、カスタマイズを最低限に抑えたからです。その分、運営面では限られた時間を最大限、雰囲気作りやルール作りの検討に充て、「NTTデータならではの味付け」を施しています。特徴的なものを4つ紹介します。
その1:利用規定はたった3行
一般的なサービスやシステムでは、利用前に詳細な「利用規定」を読み、同意することを求められます。それに対してNextiの利用規定は、「私たちはこんな人にNextiを使ってほしいと思っています」で始まり、次の3行で終わりです(図3-10参照)。
図3-10 Nextiの利用規定 |
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(1)互いをリスペクト(尊敬・尊重)できる人
(2)“自分ごと”で考え、一人称で語り、自分の行動に責任を取れる人
(3)Nextiを通じて、気づきを得、何かを生みだせる人
たった3行の利用規約は、「これとあれがダメ」と文章で規定して行動を縛るより、「Nextiに込めた思いに賛同してくれる人に使ってほしい」という理念を、極力インパクトある形で伝えることに重きを置いた結果です。
検討時には、「業務外の利用も許容する以上は、クレームや問題を未然に防ぐ意味でも、あらゆるシチュエーションを漏れなく想定し、対応策を利用規定に記載すべきではないか」という意見も出ました。しかし、様々な議論を経て「社員一人ひとりが自分のとった行動によってNTTデータの名前をおとしめないかを考え、自浄作用の働く文化を醸成することこそ、企業改革そのものではないか」という結論に達しました。NTTデータ社員が社会人として当たり前の品格と、それを相互に高めあう精神の持ち主であることを信じたのです。
一方、Nextiを運営していく間には、曖昧な表現では解決できない場面も出てくることも想定し、その際に参照してもらえば良いという位置づけで、「第1条、第2条」といった詳細な規定類も作成し、二段構えとしました。3行の思いが憲法なら、利用規定は法律に相当します。利用規定は、Nextiへの初回登録画面に表示する他、ページ下部にリンクを張って、必要なときにいつでも参照できるようにしました。