ICT×未来

<特集>6G徹底解明

「6Gでの日本の勝ち筋は2つ」、野村総研 未来創発センター長 桑津浩太郎氏

構成◎村上麻里子(編集部) 2021.07.02

  • Teitter
  • facebook
  • 印刷

野村総合研究所 研究理事
未来創発センター長 桑津浩太郎氏

6Gで“失地回復”を図るべく、国を挙げて動き出した日本。グローバル市場での主導権を握るためには、どうすればいいのか。野村総合研究所 研究理事 未来創発センター長の桑津浩太郎氏に話を聞いた。


――日本は5Gで海外勢に後塵を拝する形となりました。その反省に立ち、Beyond 5G/6Gでは早期に動き始めています。

桑津 6Gは、1Gから数えると6番目の規格になりますが、これまでを振り返ると、日本は2Gから標準化作業に本腰を入れ始め、おそらく3Gのときに主導権を握れるチャンスが最もありました。

しかし、様々な事情から上手くいかず、やがてじわじわと競争力を失い、5Gではすっかり“蚊帳の外”に置かれてしまった。通信規格の国際競争では、残念ながら、マスマーケットを押さえたメーカーのいる国が優位です。3Gまではエリクソン、ノキアの2社で、そこに4GからファーウェイとZTEの2社が新たに加わりました。

中国企業が急成長した要因の1つは言うまでもなく、マスマーケットに入っていけたからで、何より自国に14億人という巨大市場があります。ソフトウェアの開発者も多く、競争力が元々強いところに国策も相まって、ファーウェイなどの強大な企業が生まれたと言えるでしょう。

日本が6Gに向けて早期に動き始めたことは正解ですが、過去の状況を見る限り、従来と同じやり方では日本が再びイニシアティブを取ることは相当厳しいと思います。

6Gは社会インフラへ――それでは、日本はどのような方法を採ればいいのでしょうか。

桑津 日本の「勝ち筋」はどこにあるのか。大きく2つあると見ています。

1つめが、NTTのIOWNのアプローチです。

光の伝送路に光のスイッチを入れることでネットワーク全体を光化し、無線はアクセスとしての役割を担うというのはネットワーク高速化の1つの完成形であり、6Gの延長線上にIOWNを位置付けることは間違いではありません。日本は光伝送技術についてはまだ競争力を持っているので、強みも発揮できると思います。

2つめが、社会インフラとしてのアプローチです。

4Gまでの移動通信は、コミュニケーションインフラとして位置付けられてきました。しかし、5Gは社会の制御インフラ・神経網としての存在になるという見方があり、6Gはその発展型と捉えることができます。

東京大学大学院 情報学環 副学環長で「Beyond 5G推進コンソーシアム」国際委員会委員長の中尾彰宏先生は「6Gは超高速・超低遅延といった5Gまでの機能を高度化するのではなく、より社会インフラに近付いていく」という考え方をされており、非常に的を射ていると思います。

そうなったとき、ローカル5Gのようにニッチなネットワークが“突破口”になるというのが、中尾先生の見解です。

5G以降での実現が期待されている自動運転や遠隔医療、工場の遠隔操作などは、いずれも人手不足や少子高齢化などの社会課題を自治体や企業といった限られた範囲で解決するアプリケーションであり、どちらかといえばキャリアネットワークよりもローカル5Gの方が適しています。

現場の課題解決に合わせてネットワークもカスタム化され、それが進化したものが「ローカル6G」あるいは、6Gのサブネットワークとなり、その共通仕様が6Gに取り入れられていくのではないでしょうか。

海外では、これまで通信とは無関係だった、自動運転などのアプリケーションの関係者を交えて6Gのコンセプトを作ったり、「スライシングを束ねてネットワークを構成しよう」「サブネットワークを個別に作ろう」といった議論がされています。

6Gで社会インフラや産業インフラを収容するネットワークを個別に作らなければならないとなったとき、アプリケーションに強みを持つ日本は一定の貢献ができると考えています。
続きのページは「business network.jp」の会員の方のみに閲覧していただけます。ぜひ無料登録してご覧ください。また、すでに会員登録されている方はログインしてください。

  • Teitter
  • facebook
  • 印刷

スペシャルトピックスPR

seiko2204
MI2204
nttdata2204

>> 今月の月刊テレコミュニケーション

月刊テレコミュニケーション【特集】6Gと未来

<Part1> 6G最新動向 <Part2> 6Gと知財・標準化
<Part3> 6Gとエネルギー問題 <Part4> 通信事業者のメタバース
<Part5> 6G時代のサイバー攻撃


インタビュー国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT) 未来ICT研究所長 和田尚也氏「量子ICTやバイオICTなど従来と全く違う発想で未来拓く」 【ソリューション特集】ミリ波の弱点を克服/5G時代を支える光ソリューション ほか

>>詳しい目次を見る

スペシャルトピックス

ローデ・シュワルツ強みのミリ波技術で6G開発に貢献 1THz対応受信器もラインナップに
ローデ・シュワルツが得意のミリ波技術で6Gへの取組を強めている。

モバイル空間統計が直面した困難「ビッグデータのプライバシーを守れ」<連載>NTTグループのプロフェッショナルたち
モバイル空間統計が直面した困難「ビッグデータのプライバシーを守れ」
NTT Comサイバー攻撃事件の舞台裏「侵入者は対策メンバーのアカウントにもなりすましていた」<サイバーセキュリティ戦記>
NTT Comサイバー攻撃事件の舞台裏

「侵入者は対策メンバーのアカウントにもなりすましていた」
セイコーソリューションズ近づくISDN終了 ワンストップの移行サービスが登場

ハードウェアを設置するだけ!ISDNからIP網への移行をフルサポート。

AirREAL-VOICE2簡単操作でマイグレーション実現
データ通信だけでなく通話・FAXも

アダプターの入替だけで移行が完了するMIの音声対応LTEルーター

NTTデータINSネットの後継ならお任せ!
移行で伝送時間短縮や負荷軽減

INSネットからの失敗しない移行方法をEB/FBの種類別に紹介しよう。

Wi-SUN AllianceWi-SUN認証デバイスが1億台突破
日本発の世界標準規格の普及加速

2.4Mbpsへの高速化など新たな進化も始まっている。

エヌビディアNTTとLINEが牽引する日本の自然言語処理、この2社がリーダーである理由

3月21日から開催の「NVIDIA GTC 2022 Spring」で知ろう!

IoT用のSIMはきめ細かに管理する!
閉域網、帯域確保で安定・安全通信

スマホでおなじみの「mineo」が、IoTでも利用を拡大している。

NEEDLEWORK(ニードルワーク)ネットワークテストの負担から
SIerを解放する自動化製品!

200時間の作業が数10秒の例も!
テストの品質向上にもお勧めだ。

フォーティネット5G特有の脅威に備え、セキュアで柔軟なローカル5G・プライベート5G

ローカル5G・プライベート5Gではセキュリティリスクへの対処も必要だ。

Alkira4か月かかるクラウド接続を1日で!

DX時代に欠かせないマルチクラウドネットワークの一元管理が、Alkiraなら内製でも容易に実現可能

IoT Connect Mobile Type S柔軟なIoT回線で閉域にも大容量にも
IoTの「分からない」を一緒に解決

ユーザーの要望に合わせて柔軟にプランを選択できる!

ホワイトペーパー

アクセスランキング

tc202012

「通信」の力でビジネスを進化させるbusinessnetwork.jp

Copyright(c) 2020 RIC TELECOM Co.,Ltd. All Rights Reserved. 記事の無断転載を禁じます
当ウェブサイトはCookieを使用しています。閲覧を続ける場合、プライバシーポリシーに同意したことになります。