<特集>コロナ・5G・AI
AIが企業ネットワークのトラブルを勝手に解決
企業ネットワークにAI技術が導入され始めた。監視すべきトラフィックの増大・多様化が進む中で、AIが運用や障害対応の自動化、UX(ユーザー体験)の改善などに重要な役割を果たし始めている。
今、ネットワーク担当者は監視すべきデータ量の増加に頭を悩ませていることだろう。DX(デジタルトランスフォーメーション)が叫ばれ、企業は様々な新しいITシステムを構築・利用するようになった。VRのような広い帯域幅を必要とするソリューションも増えており、ネットワークのトラフィック監視の重要性が増している。また、仮想マシンやコンテナなど仮想環境上で動くサービスも増えたため、もはやハードウェアを監視するだけでは十分ではない。その上の仮想環境も監視する必要がある(
図表1)。
図表1 企業が可視化・制御しなくてはいけないデータ

セキュリティの観点からも、ネットワーク監視は課題に直面している。新型コロナウイルスの影響で在宅勤務が一気に広がった。また、利用するSaaSの種類もかつてと比べると格段に増えている。「アクセス先もアクセス元も多様化している」とシスコシステムズ 執行役員 エンタープライズネットワーキング事業担当の眞﨑浩一氏は指摘する。
こうした環境でネットワーク品質やセキュリティを保つためには、デバイスからアプリケーションまでのネットワークをエンドツーエンドで監視し、制御しなくてはならない。
そのためには膨大なデータを扱わなくてはならないが、従来の死活監視のような考え方で1つ1つのKPIに固定された閾値を設けて監視するのは非効率だ。そこで有効なのが、AI技術である。
ジュニパーネットワークス 技術統括本部 テクニカルビジネス推進本部 本部長の上田昌広氏は「今までは数十程度だった監視項目が、今後は数千項目くらいになっていく。こうなると人間の目や手を使ってではなく、AIを使って監視・分析しなくてはならない」と強調する。

月刊テレコミュニケーション2020年6月号から一部再編集のうえ転載
(記事の内容は雑誌掲載当時のもので、現在では異なる場合があります)
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