NTTと三菱商事、「産業DXプラットフォーム」構築で業務提携

NTTと三菱商事が「産業DX推進」に関する業務提携を発表した。NTTのICT技術と三菱商事の産業知見を相互補完し、プラットフォームを構築するという。グローバル展開も視野に入れており、数千億円規模の事業創出を目指す。

NTTと三菱商事は2019年12月20日、「産業DX推進」に関する業務提携について記者会見を行った。

三菱商事 代表取締役社長 垣内威彦氏は今回の業務提携について、「日本の業務プロセスは遅々としてDX(デジタルトランスフォーメーション)が進んでいないのが実情。三菱商事グループ1500社のデジタル化を検討している中で、物流や情報の共有化に関する具体論が随所に出てきた。それをどう実現しようかと考えていた時にNTTに声をかけられた」と説明。


三菱商事 代表取締役社長 垣内威彦氏

両社の強みである産業知見とICT技術を相互に補完し、DX促進に向けたソリューションを一貫して提供できる「産業DXプラットフォーム」を構築、産業のデジタル化を推進するという。

まずは三菱商事が長年事業を手掛け、多くのノウハウが蓄積されている食品流通分野と産業素材流通分野を対象に着手する予定だ。

「同一産業内には本来、競争領域と協調領域がある。需要予測、MaaS、デジタルツイン、決済、受発注、位置情報などは、例えば食品流通分野だと本来は競争する必要がないフィールド。こういう共通部分のプラットフォーム化をNTTと共同で作る」(垣内氏)としている。


産業DXプラットフォームのイメージ

垣内氏はDXプラットフォームの効果について食品流通分野を例に説明。「食品流通の業務プロセス関連でのコストは約4兆円。このうち10~20%のコスト削減ができれば非常に大きな効果がある。さらに小売りのPOS情報などが産業全体で共有され、仮にAIによる需要予測を導入すれば企業間在庫の廃棄ロスが大幅に削減される。ビジネスプロセスの削減効果、様々なところで起こる廃棄ロス、物流関連で言うと各社がバラバラに配送している非効率な部分、例えばトラックのデッドスペースや倉庫の空きスペースなどを可視化して活用することで、最適化を図ることができる」

取り組み対象分野は順次拡大し、数千億円規模の事業を創造したい考えを示した。

NTT 代表取締役社長 澤田純氏は、「三菱商事の(食品業界などの)バリューチェーンをデジタル化する中で、同じ食品業界の中でも色んなバリューチェーンがコネクトされてくると思う。他業界にも展開できるものはしていきたい。当然この中にはAI、IoT、5Gなど、パーツとしての新技術を入れていく。さらに、NTTが80数カ国に展開している支店などの海外基盤と三菱商事の海外基盤をリンクさせながら、グローバルで基盤拡張に臨みたい」とビジョンを語った。


NTT 代表取締役社長 澤田純氏




プラットフォームの実現に向けて

また、両社は在オランダ持株会社を新設し、オランダの「HERE Technologies(HERE International B.V.)」へ共同出資する。

HERE社は近年、高精度地図・位置データを基盤としながら、物流や交通情報/ルート案内等のサービスをはじめとしたソリューションを強化している企業。同社のソリューションを産業DXプラットフォームの中核技術の候補の1つとし、日本およびAPAC市場における更なる事業拡大を目指すとした。

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