ローカル5Gとキャリア網を連携――設備共用で発展する“2つの5G”

業界や企業ごとに異なる多様な無線通信ニーズを満たす手段として、「ローカル5G」への注目が高まっている。この展開を容易にするため、通信事業者のパブリック網との設備共用・連携を目指す動きが出てきた。

通信事業者による5G商用サービスの開始が迫るなか、特定施設・土地の所有者等が5Gシステムを自営できる「ローカル5G」への期待も急速に高まってきている。背景にあるのは通信ニーズの多様化だ。

5Gの性能を活かしたいというニーズは様々な産業分野に広がっているが、その要求条件は多岐にわたり、通信事業者のネットワーク(以下、パブリック網)ですべてのニーズを満たすことは難しい。ローカル5Gならば、利用者特有のニーズに応じた5Gシステムを迅速に立ち上げられる可能性が高まる。

キャリアだけでは対応しきれずこうした個別ニーズに特化した無線通信ネットワークの必要性は、通信事業者も認めるところだ。NTTドコモの執行役員で5Gイノベーション推進室長を務める中村武宏氏は、5月末に東京ビッグサイトで開催された「ワイヤレス・テクノロジー・パーク(WTP)2019」の講演で次のように述べている。

「ローカル5G的なニーズは前々から本当に感じている。具体的には、特定の閉域での産業ユースケースのニーズが非常に高い。一時的(にネットワークが必要)なニーズにも対応しなければならない」

一時的なニーズには、例えば大規模イベントへの対応がある。5Gユースケースの代表例である建設機械の遠隔操作にしても、1カ所の現場で使われるのはせいぜい数週間から数カ月といったところだ。こうしたテンポラリーなニーズに対応するため、ソフトバンクの場合は5Gコア装置と基地局を持ち運び、局地的に電波環境を構築できる可搬型設備「おでかけ5G」を開発している。

さらに中村氏は、「ユースケースに特化した特殊な要求条件がある。求める性能は千差万別で、『共通でよい』というケースはまったくない」とも語り、ローカル5Gあるいは免許不要周波数帯(アンライセンスバンド)を利用する5Gが、こうしたニーズに応えるソリューションになり得るとした。

月刊テレコミュニケーション2019年8月号から一部再編集のうえ転載
(記事の内容は雑誌掲載当時のもので、現在では異なる場合があります)

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