ニュース

ヤフー、モダナイゼーション推進のための3つの観点

文◎原田果林(編集部) 2019.07.24

  • bookmark
  • Teitter
  • 印刷

OpenStack Days Tokyo 2019でヤフーのクラウドネイティブへの取り組みが紹介された。カルチャー、プロセス、テクノロジーの3つの観点からプラットフォームレイヤーのモダナイゼーションを推進したことで、デプロイ頻度の増加や変更リードタイムの短縮など、大きな効果が得られているという。


2019年7月22日、OpenStack Days Tokyo 2019の「ヤフーのクラウドネイティブへの取り組みとそれを支えるシステム開発」と題した講演に、ヤフー テクノロジーグループシステム統括本部 テクニカルディレクターの吉岡圭氏が登壇。Yahoo! JAPANにおけるモダナイゼーション推進の動機や手法、効果と課題などについて語った。

 


ヤフー テクノロジーグループシステム統括本部 テクニカルディレクター 吉岡圭氏


まず前提として、ヤフーは現在、マルチビッグデータカンパニーとしてデータ戦略に注力している。同社が運営する「Yahoo! JAPAN」は、ニュースやショッピング、オークションなど100以上のサービスを展開しており、月間総PVは757億に上る。また、グループ会社はヤフーのみで100社以上、親会社であるソフトバンクを含めると500社以上になる。そのユーザー規模を活かし、様々な業種のグループ企業と連携してデータを利活用することで、今後さらに事業を強化する考えだ。

 


ヤフーにおいて特に強みとなる領域のデータはメディア、コマース、金融だという


こうした状況の中、Yahoo! JAPANがモダナイゼーションを推進する理由について吉岡氏は、「データ利活用による競争力の強化」と「レガシーからの脱却」と説明する。データ利活用のためには、ユーザーからのフィードバックを得て開発改善をし、リリースするサイクルを高速に回す必要があり、これを実現するために開発環境を強化するのだという。また、1996年から20年以上にわたってサービスを展開してきたヤフーでは、独自のプロトコルで通信するアプリケーションやC言語のアパッチハンドラーといった古いアプリケーションアーキテクチャが残っており、これらがプロジェクトの俊敏性を欠く要因になっているという。

 

こうしたことから、Yahoo! JAPANでは約3年前からモダナイゼーションを全社における最重要案件の1つとして取り組んでいる。では、Yahoo! JAPANにおけるモダナイゼーションの取り組みとはどのようなものだろうか。

プラットフォームのモダナイゼーション


「ヤフーのサービスを本当にざっくりというと、まずサービスレイヤーというのが上にあって、その下に共通のプラットフォーム、その下にインフラといったような水平分業の形になっている。その中でまずはプラットフォームレイヤーからモダナイゼーションを始めている」(吉岡氏)。このプラットフォームのモダナイゼーションを実現するために、カルチャー、プロセス、テクノロジーの3つの観点から取り組みを推進しているという。

 


プラットフォームのモダナイゼーションを推進する3つの観点


まずカルチャーについては、目まぐるしく変化するテクノロジートレンドへの対応や開発サイクルの高速化を図るため、アジャイルソフトウェア開発手法の1つであるスクラムを半ば強制的に採用した。スクラムとは、「反復的かつ漸進的にプロセスを進め、短いサイクルでアプリケーションを開発」(吉岡氏)するもので、チームの現状や問題点を可視化する「透明性」、可視化された状況から問題点を見つける「検査」、問題の改善策を考えて対処する「適応」の3つを柱としている。






プロセスの面では、スクラムに即した組織づくりを実施した。具体的には、組織としてのバックログの作成や役割の明確化、1プロダクト1チーム制の導入、組織横断型のスクラムマスターの育成を行ったという。加えて「スクラムを導入することで、個々のプロダクトは回るようになるが、プラットフォーム全体として整合性が取れていないと利用者が使いにくいものになってしまう。プロダクト単体で見るのではなく、エコシステムとして1つのプラットフォームを作っていくんだというマインドの向上が非常に重要になった」と吉岡氏は言う。




また、CI/CD(継続的インテグレーション/継続的デリバリー)にも注力した。「改めて言うまでもないが、アジリティを持った開発を進める中で自動化はやはり重要。特にCI/CDは、改善の積み重ねという意味では非常にスクラムと親和性が高く、こちらも全社的な取り組みとして推進した」(吉岡氏)




 

テクノロジーの面では、従来のベアメタルやIaaSの利用から、CaaS(Container as a Service)に移行した。コンテナ化を進めた動機は、「インフラレイヤーとアプリケーションをできるだけ疎結合にしてアプリケーション、いわゆるサービスのアプリケーションの開発を早く回したり、サービスエンジニアがサービスの開発に集中できるような環境にしたかった」(吉岡氏)からだという。この取り組みを3年間進める中で、現在では約50のサービスがコンテナオーケストレーションツール Kubernetesを利用したCaaS環境に移行している。また、CaaS以外にも必要に応じてPaaS、FaaS(Function as a Service)といったよりサーバレスなアーキテクチャも構築している。サーバレスになるほどサービスエンジニアがインフラ環境に依存せず、サービス開発のみに集中できる。






続きのページは「business network.jp」の会員の方のみに閲覧していただけます。ぜひ無料登録してご覧ください。また、すでに会員登録されている方はログインしてください。

スペシャルトピックスPR

progress2010
ciena2011
teikyo2011

>> 今月の月刊テレコミュニケーション

月刊テレコミュニケーション【特集】ローカル5Gのホント
   
~ Sub6・SAの真実と導入企業の本音
[Part1]期待のSub6・SA 方式、その本当の実力 [Part2]中韓独のローカル/プライベート5G動向 [Part3]ケーブルテレビ 先駆者の“生みの苦しみ” [Part4]オフィスにローカル5G [Part5]ローカル5Gやるなら「現場を見てほしい」

<インタビュー>OKI 坪井正志専務「AIエッジ×5Gの社会実装進める」/日本マイクロソフト 手島主税常務「リモートを価値に変える」
●コロナで加速するクラウドPBX導入/●IP化で到来する映像伝送の新時代/●O-RANの“本命”RICとは何か/●北俊一の最強のケータイ業界への道

>>詳しい目次を見る

スペシャルトピックス

ソフトバンククラウドPBXとFMCをワンストップ
withコロナ時代の電話の課題解決!

ソフトバンクのConnecTalkでリモートワークの会社電話の悩み解消。

レンジャーシステムズローカル5G導入するならレンジャー
国内初のSA構成の免許取得も支援!

ローカル5Gの「本命」SA構成の免許取得はじめワンストップ導入支援。

マクニカIP化で“新しい放送”の世界
NVIDIAの新技術が導く未来とは?

IP化がもたらす放送の未来についてマクニカとエヌビディアが語った。

CASO複数SIMで切れないモバイル通信!
映像伝送から産業用まで幅広く対応

独自技術「Speed Fusion」で、安定して切れない、高速モバイル通信!

ネットギア業務用AVのIP化は「SDVoE」

大規模なデジタルサイネージや
ビデオウォール等への映像配信を、
もっと低コスト・シンプルに!

LANが届かない、電源がない──。
映像伝送の「困った」を解決!

IP監視カメラの設置を諦めていた企業に朗報!

NTTコムウェアスマホの中に会社の電話機が入り
テレワークでも固定電話に対応!

テレワーク時の電話対応をどうすれば? クラウドPBXで解決だ!

マクニカネットワークス株式会社/Actility S.AIoTで勘や記憶に頼らないコロナ対策

IoTによる換気と接触の見える化で、データに基づいた「3密回避」が簡単に実現できる。

原田産業なぜ、5Gの「超低遅延」の実現に
高精度な時刻同期が不可欠なのか?

5Gの真骨頂「超低遅延」に欠かせない高精度グランドマスタクロック!

Juniper Virtual Summit for Japanジュニパーがオンラインイベント
AIOps、5G、クラウドの最新情報!

<12月3日開催>加速するクラウド活用とネットワークの変革

スリーダブリュー多彩なローカル5G関連企業と連携

スリーダブリューは、多様なプレイヤーと連携し、ローカル5Gの課題をワンストップで解決できる。

RADWIN4.9GHz帯無線で建機の遠隔操作!

鉄道での実績に加え、昨今は建機や港湾クレーンの遠隔操作を実現する無線インフラとしても注目。

日本シエナコミュニケーションズ光/IP融合で5G超低遅延

光伝送のリーダーであるシエナは、光/IP融合に磨きをかけ、5G URLLCとNWスライシングの効率運用に貢献

パイオリンク <帝京大学>ADCによる負荷分散で
オンライン授業の品質を担保

コロナ対策でオンライン授業に全面切替。パイオリンクのADC導入!

Cisco Webex Calling取り残されてきた「固定電話」
新しい働き方の鍵はクラウドPBX

テレワーク中の会社宛電話をどうするか? 解決策を探ってみよう!

マクセル太陽電池はもう時代遅れ!
リチウム電池で8年以上の持ち

マクセルの「IoT電源システム」は、リチウム電池を用いた従来ない電源

アイ・オー・データ機器リチウム電池で安定的に水位計測

アイ・オー・データの「水位監視用電池式IoT通信システム」ならコンパクトサイズで設置も簡単!

NECネッツエスアイ自然災害の被害をIoTで最小化

LPWAを活用した災害対策サービスを提供するNECネッツエスアイ。最適な通信規格がマルチに選べる!

スリーダブリューローカル5G局開設を全段階で支援
レンタルでコスト障壁に挑む

ローカル5G向けの基地局レンタルパッケージが提供開始!

マイクロフォーカス5G時代の高速アプリ開発!

モバイルアプリなどの開発をさらに高速化するためには、「Enterprise DevOps」への進化が欠かせない。

NVIDIA EGXエッジAIの最適解はGPUにあった!

NVIDIA EGXでエッジコンピューティングの課題を解決し、「スマートエブリシング革命」の実現を!

IDaaSクラウド時代の新常識! 今こそIDaaSを導入すべき3つの理由

クラウドを活用するなら、ID/アクセス管理もクラウドに!

ローデ・シュワルツローカル5Gの測定ニーズの
全てに応えるローデ・シュワルツ

設備構築時の干渉調査・エリア確認、運用開始後の管理までカバー!

MOVEit「パスワード付き圧縮ファイル」
にはもう頼らない!

セキュアなファイル転送を簡単かつ迅速に実行するには?

ホワイトペーパー
ローカル5G情報局

アクセスランキング

tc202012

「通信」の力でビジネスを進化させるbusinessnetwork.jp

Copyright(c) 2020 RIC TELECOM Co.,Ltd. All Rights Reserved. 記事の無断転載を禁じます