日本では2020年に商用サービスが開始する5Gについて、エリクソンは「4G(LTE)に比べて立ち上がりが早いのではないか」(藤岡氏)と見通す。2024年時点での世界の5G加入契約は19億に達する見込みで、全モバイル加入数の22%を占める。下のグラフのように、2009年の4Gスタート時点を上回る勢いで加入契約数を伸ばすと予測する。
5Gと4Gの加入者数推移(5Gは予測)
なお、LTEや3G等を含めた全モバイル加入契約数は2018年時点で79億であり、2024年には88億に増加(加入者数は62億人)。このうちスマートフォンが72億を占めるという。
地域別の普及見通しについては「北米と、中国を含む北東アジアが5Gを牽引していく」と予測。2024年には、北米におけるモバイル加入契約の63%が、北東アジアでは47%が5Gになるという。
5G普及は北米および北東アジアが牽引
モバイルデータトラフィックの側面で見ると、2024年には5Gのトラフィックが全トラフィックの35%を占めると見込む。世界のモバイルトラフィック量は対前年比82%増と驚異的な勢いで増えており、「5Gの開始当初は、この急増するモバイルトラフィックをオフロードすることが5Gの主なユースケースになる」と藤岡氏は話した。
2024年には、5Gトラフィックが全モバイルトラフィックの35%に達する
なお、5Gの人口カバレッジは、2024年時点で45~65%に達すると同レポートでは予測している。
セルラーIoTデバイスは2024年に41億個
セルラーIoT接続デバイス数については、2018年末の約10億から2024年には41億個まで増加すると予測している。年率27%と「かなり急激な増加があると見込んで」(同氏)おり、特にCat-M(LTE-M)およびNB-IoTの「セルラーLPWA」が急成長するとの見通しだ。2024年時点でセルラーIoTデバイスの半数近く(45%)をセルラーLPWAが占めるという。
セルラーIoTデバイスは年率約27%で急増
また、高速大容量通信や低遅延・高信頼性通信を活用する「ブロードバンドIoT」「クリティカルIoT」(上グラフの濃い紫色で示した部分)についても順調に伸びると見ており、4G/5GのIoT活用も広がりそうだ。
藤岡氏はこの予測に関連して、NB-IoT並びにCat-Mの標準化動向についても紹介した。両規格はともにLTEを簡略化して作られた通信方式であり、LTEの既存設備を用いて通信サービスが提供されている。「来年3月に固まるリリース16において、NB-IoT/Cat-Mと5G NR(New Radio)との共存を可能にする機能が入ってくる」と同氏。これにより、LTEで展開中のNB-IoT/Cat-Mが「NRで継続して使える」ようになる。
セルラーIoTの適用分野は鉱工業・自動車が全体の約半分を占める
セルラーIoTの適用分野については、鉱工業と自動車で約半分を占めると予測する(上画像)。続いて船舶、公共事業が多い。なお、SigfoxやLoRaWAN、ZETAといった非セルラー系のLPWAについては「それほど伸びないのではないか」とし、2024年時点でセルラーLPWAの10分の1程度である4億デバイスに留まると予測した。