キーパーソンが語る

ワイヤレスジャパン 2019/ワイヤレス・テクノロジー・パーク 2019 基調講演レポート

NTT東日本 保科氏「成果の見えるIoTで地域を元気にする」

文◎藤井宏治(IT通信ジャーナリスト) 2019.05.31

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NTT東日本は、中小企業や農家などが手軽に導入し、業務課題を解決できるIoTソリューションの展開に力を注いでいる。講演では、農業、畜産、漁業、工場、物流、小売など、多様な分野でのIoTによる業務改革が紹介された。

 
NTT東日本は、地域の会社や農家などが直面している様々な課題をICTによって解決し、地域の活性化につなげる取り組みに力を入れている。

NTT東日本でIoTサービス推進担当 担当部長を務める保科和彦氏は、講演の冒頭で、「日本の大きな課題である急速な人手不足、担い手不足は、特に地方圏で深刻だ。業務をICTに置き換えることで、事業の継続性、地域のGDPの底上げにも貢献できるはず。IoTはその有力なツールになり得る」と語った。

NTT東日本 ビジネス開発本部 第三部門 IoTサービス推進担当 担当部長 保科和彦氏
NTT東日本 ビジネス開発本部 第三部門
IoTサービス推進担当 担当部長 保科和彦氏



とはいえ、中小規模の顧客からは、IoTに対して「運用管理が大変そうだ」「導入後のサポートが心配」などの声が寄せられているという。そこでNTT東日本では、「IoTデバイスと、地域・顧客の課題を解決するクラウドサービス、これらを結ぶネットワークをトータルでサポート」し、多くの企業が手軽に導入でき、成果を実感できるIoTソリューションの提供に注力しているという。

講演では、その具体的な取り組みが、地域企業や自治体などのIoT活用事例を軸に紹介された。

NTT東日本のIoTソリューションへの取り組みの全体像
NTT東日本のIoTソリューションへの取り組みの全体像


保坂氏が最初に取り上げたのが、山梨県山梨市におけるぶどう栽培でのIoT活用である。ぶどう栽培農家のビニールハウスに温湿度、日照などを測定する環境センサーを設置。Wi-Fiや光回線を介して、NTT東日本のクラウドに蓄積し、営農データの見える化を実現するというものだ。

この事例では、ぶどう栽培で実績をあげている農家の営農データをJA(農業協同組合)を通じて共有、農指導に活用することで地域のぶどう農家全体の収量増加や品質向上につなげることを狙っている。

ビニールハウスには、クラウドカメラも設置され、映像データをNTT東日本のクラウドに蓄積すると同時に、農家がタブレットなどを用いてハウスの様子を遠隔監視できるようにしている。これにより定期的にハウスを巡回する必要がなくなり、20%の省力化が実現できているという。

また、カメラや環境センサーと連動して異常が生じた場合にスマートフォンなどにアラートを送る機能も搭載されている。ぶどう栽培ではビニールハウスの換気不良などにより、栽培しているぶどうが全滅する事故も起きており、この場合、被害額450万円にも上るとのこと。IoTでこの問題を解消できる。

山梨市におけるぶどう栽培でのIoTの活用事例
山梨市におけるぶどう栽培でのIoTの活用事例



農業分野ではこの他にも、ミニトマトを生産する大規模農業法人で、圃場で生育中のトマトを撮影。個々のトマトの色をAI解析することで、その日の収量を予測し、効率的な人員配置につなげる事例などが紹介された。。

NTT東日本では、こうした農業分野での取り組みを踏まえ、自らIoT/AIを活用した「次世代施設園芸」事業に取り組む子会社「NTTアグリテクノロジー」を7月に設立。農業分野での知見を広げることで新たなソリューションの展開にもつなげていく考えだという。

講演では、農業以外にも、畜産、漁業、養殖、工場、倉庫、病院、商店、スポーツクラブなど多様な分野でのIoTの活用事例が紹介された。

NTT東日本では、特にクラウドカメラと画像解析を組み合わせたソリューションの展開に力を入れている。すでに来店客の行動パターンから万引きを防止する「AIガードマン」をアースアイズ社と商品化。東京都中野区とAI画像分析と人流分析を、マーケティングや都市開発に活用するトライアルなどの取り組みも進めている。

中野区でのトライアルでは、画像から自動で人物・顔を検出し、年齢層や性別などを推定することが行われているが、「センシティブな個人情報を扱うことになるため画像データは消去し、解析データのみを保存するという措置をとっている」(保科氏)という。

NTT東日本では、画像解析などのユースケースで重要となるエッジコンピューティングの拠点として、ダウンサイジングで余剰スペースが出てきている通信ビル(電話局舎)を活用してもらう取り組みを進めており、現在、東京・蔵前の通信ビルに共同実証環境「スマートイノベーションラボ」を設けて、トライアルを行っている。保科氏は「今後、札幌や仙台などにも拠点を拡大、企業や、大学自治体などと協力して、パブリッククラウドとの分散処理が効率的に行えるモデルを確立していきたい」と意欲を見せた。

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