家事や仕事に忙しいママとパパに代わって、赤ちゃんを見守るセンサーが異常を知らせたり、AIがミルクやりや排泄等の状況を管理してアドバイスもしてくれる――。そんな未来が間もなく実現する。
欧米では近年「BabyTech(ベビーテック)」が注目されている。IT/IoT技術を用いて乳幼児の子育てを支援する取り組みのことだ。米ラスベガスで開催される家電見本市「CES」では、BabyTech専用エリアが設けられるほど認知度が高まっている。
日本ではまだ動きが少ないものの、「2018年になって関心を持つ企業が急激に増えてきた」と話すのは、専門メディア「BabyTech」を運営するパパスマイル 代表取締役の永田哲也氏だ。
パパスマイル 代表取締役の永田哲也氏
同社は父親向け育児情報を提供するメディア「papasmile」の運営をはじめ、“パパ支援”を軸とした育児関連サービスを提供している。BabyTech情報の提供もその一環だ。様々な相談が持ち込まれており、「ベビー用品メーカーからはBabyTech商品企画の相談が来ている。百貨店もBabyTech専門コーナーを作ろうと動き始めている」という。
Webサイト「BabyTech」(https://babytech.jp/)
睡眠・授乳の履歴を自動記録どんな製品やサービスがあるのか。海外で目立つのが、赤ちゃんの睡眠時間やミルク授乳量等の記録・管理を効率化するIoT育児用品だ。
例えば、以前から欧米では使用率の高いベビーモニターが、IoTと機械学習技術によって進化している。ベビーベッドで眠る赤ちゃんの様子を写した映像をスマートフォン等で見られるほか、画像解析によって睡眠パターンや睡眠時間等のデータを保存・可視化できる「Nanit」や、呼吸のモニタリング機能を備えた「Cocoon Cam」といった製品がある。Cocoon Camは2017年に400万ドルの資金調達を果たしたことでも話題となった。
哺乳瓶もスマート化している。
「BlueSmart mia」は、哺乳瓶に取り付けるカバー状のデバイスで、赤ちゃんがミルクを飲んだ時間や量を記録し、スマートフォンアプリで確認できる。Slow Control社もセンサーを内蔵したスマート哺乳瓶「Baby Glgl」の商品化を進めている。重量センサーによって赤ちゃんがミルクをどの程度飲んだかを自動的に記録する。
睡眠や授乳のデータを紙に手書きで記録することは、保護者にとって大きな負担だ。これを自動化することによって負担が軽減されるうえ、夫婦間での共有も簡単になるため分担もしやすくなる。父親の育児参加のハードルを下げるのにも役立つ。