ニュース

Sigfox対応の消火器が最優秀賞――KCCSがIoTアイデアコンテストを開催

文◎太田智晴(編集部) 2018.12.10

  • Teitter
  • facebook
  • 印刷

IoTアイデアコンテストの審査員と
ファイナリストたち

京セラコミュニケーションシステム(KCCS)は2018年12月8日、Sigfoxの活用アイデアを学生から募集する「IoTアイデアコンテスト」の本選を開催した。15組のファイナリストがプレゼンを行い、プロトタイプ部門はSigfox搭載のスマート消火器、アイデア部門は飼料の残量や牛の転倒を可視化する酪農向けソリューションが最優秀賞に選ばれた。

 
「Sigfoxの通信料金は、一番安くて年間100円。今まで通信できなかったモノが、ジュース1本くらいの値段で通信できるため、Internet of Thingsというより“Everything”になっていくのではないかと我々は考えている。ただ、おじさん、おばさんばかりではアイデアが古すぎるかもしれない。ぜひ若い人の力を活用したいと、アイデアコンテストを開催することにした」

京セラコミュニケーションシステム(KCCS)は2018年12月8日、「IoTアイデアコンテスト」の本選を都内で開催。同社代表取締役社長の黒瀬善仁氏は、このように開催趣旨を説明した。

このコンテストは、KCCSが全国展開するLPWAネットワーク「Sigfox」を活用した、生活を楽しく、便利で、快適にするアイデアを、学生から募集したもの。Sigfoxの活用アイデアを競う「アイデア部門」と、さらにプロトタイプを実際に作ってデモを披露する「プロトタイプ部門」の2部門に分かれている。審査委員長はIoTの権威である東洋大学 情報連携学部(INIAD)学部長の坂村健氏が務め、本選では合計70の応募からファイナリストとして選ばれた15組の学生がプレゼンを行った。


消火器の水力発電でSigfox通信50万円という最も高額の賞金が用意されたプロトタイプ部門の最優秀賞には、慶應義塾大学 大学院の山本浩之さんの「小型水力発電によるバッテリーレス・スマート消火器」が選ばれた。

(左から)KCCS 代表取締役社長の黒瀬善仁氏、プロトタイプ部門の最優秀賞を受賞した慶應義塾大学 大学院の山本浩之さん、審査委員長を務めた東洋大学 情報連携学部(INIAD)学部長の坂村健氏
(左から)KCCS 代表取締役社長の黒瀬善仁氏、プロトタイプ部門の最優秀賞を受賞した
慶應義塾大学 大学院の山本浩之さん、審査委員長を務めた東洋大学 情報連携学部(INIAD)学部長の坂村健氏



山本さんによれば、初期消火が効果的なのは発火から2分以内。火事が起こった際には、消火器で初期消火を素早く実施し、さらに消防署への通報、そして避難を行うことが求められる。しかし、初めて遭遇する緊急事態の中、これらの行動を的確に実行できる人はほとんどいないはずだ。

そこで山本さんが考案したのが、消火器を使用すると、同時にSigfoxで消防署へ通報できるスマート消火器だ。迅速な通報を実現でき、最終的な鎮火も早くなる。

バッテリーレス・スマート消火器のシステム概要
バッテリーレス・スマート消火器のシステム概要


その仕組みが面白い。小型の水力発電機を消火器のホース部分に取り付け、消火器の噴射圧力により発電した電力を使って、Sigfoxによる通信を行う。このためバッテリーレスで通報できる。消火器には10秒間以上の噴射持続が消防法で義務付けられており、低消費電力のSigfoxで通信するための電力は、この10秒間で得ることができるという。

「噴射時の圧力を活用することで、まったくの電池レスで消防署に連絡できる。低消費電力などのSigfoxの特性を上手に活かしており、社会的な益になることも高く評価した」と坂村審査委員長は授賞理由を説明した。

スマート消火器のデモ映像
スマート消火器のデモ映像。消火器を噴射すると、
Sigfoxで通報が行われ、消防署サーバのLEDが点灯した


Sigfoxで低コストに水位を可視化プロトタイプ部門の優秀賞(賞金10万円)は、「水の都の水先案内人」をプレゼンした阿南工業高等専門学校の小野瀬博貴さんと福本小夏さん、「格安スマート水田でIoT導入を手軽に実現」をプレゼンした東京電機大学の西垣一馬さんと河西達彦さんの2組に授与された。

水の都の水先案内人は、約500の河川がある徳島の活性化に、Sigfoxを活用するアイデアだ。河川の水位は、潮位や雨で大きく変動し、水位が上がると船が運航できないエリアも出てくる。そこでSigfox通信モジュールを搭載した水位計で、様々な場所の水位を見える化。これにより、水路をもっと自由に活用できるようにする。IoT対応の水位計はすでにあるが、部品代が合計で1万5000円程度と安価に実現している点などが評価された。

阿南工業高等専門学校の小野瀬博貴さんと福本小夏さんが試作した水位監視システム
阿南工業高等専門学校の小野瀬博貴さんと福本小夏さんが試作した水位監視システム。
マップ上に水位が表示される。右にいる
福本小夏さんが手に持つのがSigfox対応水位計だ


格安スマート水田も、Sigfoxの低コスト性を活かした。稲作では水管理が全体の作業時間の約3割も占めており、Sigfoxで水田の水位を遠隔監視できるようにする。LTEを活用した既存の水田向けIoTセンサーは、1基当たりの導入コストが約15万円、毎月の運用コストも数万円かかる。一方、格安スマート水田ではセンサーシステムをシンプル化するとともに、通信にSigfoxを用いることで、導入コストは約1万円、運用コストは月数百円~に抑えられるという。

東京電機大学の西垣一馬さんと河西達彦さん
東京電機大学の西垣一馬さんと河西達彦さんが試作した水田用の水位計。
Sigfoxで送られた水位データをタブレットなどで閲覧できる



アイデア部門については、都城工業高等専門学校の遠矢健太さんと細屋直樹さんの「RAKU☆CHIKU(らくちく)」が最優秀賞(20万円)、日本大学 大学院の竹平幸矢さんの「Seekfox」が優秀賞(5万円)を受賞した。

RAKU☆CHIKUは、酪農家の「思うように休暇が取れない」という悩みを解決するアイデア。Sigfoxで飼料の残量確認や牛の転倒検知を実現し、人手での定期的な確認・見回りの負担を軽減する。

また、Seekfoxは、ショッピングセンター向けの宝探しゲームにSigfoxを活用するというアイデアだ。

惜しくも最優秀賞や優秀賞は逃したものの、無人交通調査や心疾患の再発予防、空き家管理など、他にも多数の興味深いアイデアとそのプロトタイプが発表された今回のコンテスト。最優秀賞のスマート消火器をはじめ、ぜひ商用化してほしいというアイデアが多くあり、審査員からも「非常にレベルが高かった」という声が聞かれた。

KCCSでは、今後もIoTアイデアコンテストの開催を継続する予定だという。
  • Teitter
  • facebook
  • 印刷

スペシャルトピックスPR

macnica2109
tp2109
keysight211-

>> 今月の月刊テレコミュニケーション

月刊テレコミュニケーション【特集】次世代Wi-Fi特別講義
<11be>「Wi-Fi 7(仮称)」は意欲的 <11ay>100Gbpsの60GHz帯無線
<11az>誤差1m以内で位置推定 <11bf>侵入者も転倒も無線で検知
<11ba>新発想で超低消費電力 <Wi-Fi 6E>“最後のフロンティア”で飛躍
<Wi-Fi QoS Management>リアルタイム通信を優先制御

インタビュー東京工業大学 阪口啓教授 「ミリ波5Gの課題に効果歴然 超スマート社会は「事業」段階」【ソリューション特集】ゼロトラストの正しいつくり方/コロナが迫った「電話のDX」 ほか

>>詳しい目次を見る

スペシャルトピックス

チェック・ポイント・ソフトウェア・テクノロジーズ中堅中小にちょうどいいゼロトラスト

中堅中小企業にも現実的なゼロトラスト移行ソリューションをチェック・ポイントが提供する。

プロディライト電話環境のDXを実現する!
岩崎通信機のオンプレPBXとも連携

出社せずに会社宛ての電話を受けられるクラウドPBX「INNOVERA」

CyCraft AIRなぜ、AI主導型EDRなら短期解決?
インシデント対応の4つのポイント

ごく普通の企業でも、AI主導型EDRがあれば、高速に自動化可能だ。

エイチ・シー・ネットワークス月1200円から目指すゼロトラスト
ソフトSIM+SWGで全通信を制御

導入の複雑さやコスト面から足踏みしている企業の悩みを解決

IIJグローバルソリューションズDXの鍵はXDRと戦略立案にあり!

デジタル・ガバナンスの整備~アドバイザリーまでを、IIJグローバルソリューションズが支援!

シスコシステムズ通信事業者のデータセンター運用を「直感的」に!

解決策までリアルタイム提示するCisco Nexus Dashboard

ネッツワイヤレスIoT回線の最適解「ネッツワイヤレス」 多要素認証でテレワークも

「現場改革」のための法人向けモバイル回線サービス!

Keysight World 2021ドコモが語るオープンRAN普及戦略
キーサイトが10/12からイベント

6Gに向けた最新技術トレンドがテーマ!(事前登録制、参加費無料)

Splunk Services JapanSplunkで真のゼロトラスト SIEMとSOARをストーリー仕立てで

ゼロトラストの実現に必要な統合管理/分析プラットフォームを提供!

Fortinetゼロトラストで変わる常識
VPNの課題を解決するZTNAとは?

ゼロトラスト原則に基づいたリモートアクセス「ZTNA」を徹底解説!

インテル多彩なXPU製品・ソリューションで
5Gの仮想化を支えるインテル

CPUに加え、FPGA、GPU、eASICなどで5G RANの仮想化に対応!

シスコシステムズネットワーク自動化の4つの原則とは?

オートメーションを通して「人に優しい」通信インフラを実現するシスコの構想

「ところざわサクラタウン」に100Gの広帯域LANを低コストに構築KADOKAWAは大規模複合施設の
100G化をどう実現したのか

「ところざわサクラタウン」に100Gの広帯域LANを低コストに構築

TP-LinkWi-Fi 6や10Gを低価格で導入
無料SDNでネットワークの管理も

中堅中小企業のDXに必要なコストパフォーマンスを実現!

マイクロフォーカス通信キャリアの運用自動化、その鍵を握るオーケストレーションとは?

思うように成果が出ない…。ならば、プロセス全体に踏み込むべきだ

エヌビディアMWC 2021で語られた
「AI-on-5G」がもたらす価値

5GにAIを組み合わせ、高度なAIエッジ処理をシンプルに実現!

アレイ・ネットワークスIoTネットワークまで標的が拡大
ランサムDDoS攻撃の対策方法

アレイ・ネットワークスのASFシリーズで自力防衛を!

VIAVIソリューションズ5GをRANからコアまで徹底検査
オールインワンのローカル5G測定器も

E2Eのテストソリューションを提供するVIAVIソリューションズ

ウインドリバーなぜ、5G vRANにウインドリバーを採用したのか?

ベライゾンとボーダフォンが選んだ「Wind River Studio」

アイティフォーAI型EDRが侵入“後”の対応を
高速・低コストに

数週間かかる「フォレンジック」が最短3時間!

東陽テクニカあらゆる400ギガネットワーク環境をテスト

BGPの負荷試験等幅広いプロトコルテストに対応!

ネットスカウトシステムズネットスカウトシステムズが指南!
DDoS攻撃の効果的な防御方法とは

世界的に急増するDDoS攻撃。被害を最小限に食い止める方法を解説する

インテル「5G・6Gでキャリアとともにイノベーションを起こす」インテル堀田氏

ワイヤレスジャパン2021での基調講演を徹底レポート!

NVIDIA AI DAYSエヌビディア・ドコモ・富士通が
見据える「5G RANの将来」

AI時代に起こる5G RANの進化についてキーパーソンたちが語った。

NVIDIA AI DAYSソフトバンク、ドコモの5G・MECを支える技術とは

「AI-on-5G」の実現に向けて取り組むソフトバンクとNTTドコモ。

京セラ5G/L5GをデュアルSIMで使い倒す!
映像伝送、DX、電波調査がこれ1台

ローカル5Gにも対応した京セラの5Gモバイルルーターが好評だ。

ローデ・シュワルツ・ジャパンローカル5Gのテスト品質は業界トップ
サポート人員を3倍、コストも低減

ローデ・シュワルツがローカル5Gの導入を手厚く支援する。

DNPローカル5Gを支える国産SIMカード
多様なプレイヤーをコンサル力で支援

大日本印刷(DNP)がローカル5Gに最適化させたSIMを提供!

構造計画研究所ローカル5Gの円滑な導入に貢献する
2つの電波シミュレーションツール

ローカル5Gの免許申請に必要な「カバーエリア図」作成を大幅効率化!

APRESIA Systemsローカル5Gに最適化した性能
導入コストは億単位から数千万へ

ローカル5Gの導入コストを数千万円台に引き下げるAPRESIA Systems

ミクシィ低遅延伝送に挑んだミクシィ、IP映像伝送の最新規格SMPTE 2110で

ミクシィのサービス「TIPSTAR」は、低遅延のIP映像伝送技術を駆使!

キーサイト・テクノロジー5G/ローカル5G/O-RAN/C-V2Xの
最前線を解説する技術イベント

7月7日(水)・8日(木)にオンライン開催!

ホワイトペーパー
ローカル5G情報局

アクセスランキング

tc202012

「通信」の力でビジネスを進化させるbusinessnetwork.jp

Copyright(c) 2020 RIC TELECOM Co.,Ltd. All Rights Reserved. 記事の無断転載を禁じます
当ウェブサイトはCookieを使用しています。閲覧を続ける場合、プライバシーポリシーに同意したことになります。