キーパーソンが語る

「モバイルで貧困や不平等なくす」、GSMA 事務局長 マッツ・グランリド氏

構成◎松本一郎(編集部) 2018.07.30

  • bookmark
  • Teitter
  • 印刷

GSMA 事務局長
マッツ・グランリド氏

世界のモバイル事業者が参加する業界団体「GSMA」。モバイルで豊かで活力ある未来を創ろうと、国連が推進する「SDGs」へのコミットを表明している。マッツ・グランリド事務局長に話を聞いた。


――5Gに向けた取り組みが、世界的に加速してきました。

グランリド そうですね。グローバルでは2025年に5Gへの接続数が12億になる見込みです。また、日本では2025年にトータル接続の45%が5Gになると予測されています。つまり、5Gは「実現する」ということです。

――順調に進展しているわけですね。

グランリド 技術面ではそうです。しかしその一方で、ビジネス面について見ると、課題がないわけではありません。5Gは普及しますが、儲かるビジネスモデルはまだ明確に描き切れていないのです。

投資規模が莫大である点も懸念しています。5000億ドルもの設備投資が必要と言われています。ですから規制当局は、モバイル事業者が積極的に投資できるようにするための環境づくりを行い、イノベーションを活性化させるという重要な役割を果たす必要があります。

また、自動車メーカーや電力会社、ヘルスケア企業などにも対応していく必要があり、かつてより複雑なビジネスモデルになる怖れもあるでしょう。

――5Gのビジネスモデルは今から作り出していくのですね。

グランリド そうです。ただ、こうした課題はあっても、モバイル事業者は「新しいチャンスがある」とポジティブに考えています。

4Gのときを思い出してください。このときも「3Gで十分ではないか」などと言われ、当初なかなかビジネスモデルを描けませんでしたが、最終的には成功しました。5Gも同じような旅路を辿ると思っています。

もちろんテクノロジーとして見たときには、5Gは4Gとはまったくの別物です。AIやビッグデータなどにより、5Gではインテリジェントな接続が可能になり、モバイル事業者の状況は一変すると思います。

例えば、VRや360°ビデオストリーミング、アバター、今のIoTよりも大規模なマッシブIoTなどが、5Gで実現するでしょう。

――ところで5Gに先行して、IoT向けにはNB-IoTなどのセルラーLPWAの提供が始まっていますね。

グランリド すでに世界で70のモバイル事業者がサポートしており、莫大な数のデバイスがセルラーLPWAにつながっていくでしょう。LPWAの規格はいろいろありますが、スケールの問題もあり、セルラーLPWAを打ち負かすことはできません。セルラーLPWAの未来は明るいと考えています。

モバイルで持続可能な社会を――GSMAは毎年バルセロナで世界最大のモバイル展示会「モバイルワールドコングレス」を開催していますが、今年は国連が推進する「SDGs」(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)が大きなテーマになりました。モバイル業界は、SDGsにどんな貢献ができるのでしょうか。
GSMAが開発したSDGsに関するモバイルアプリ「SDGs in Action」。SDGsで掲げられている世界を変えるための17の目標の説明や、SDGsの最新ニュースなどのコンテンツがある
GSMAが開発したSDGsに関する
モバイルアプリ「SDGs in Action」

グランリド 様々な貢献ができると考えています。今、世界には約54億人のモバイルユーザーがおり、これは世界の人口の3分の2にあたります。これほど多くの人をつなげているということは、いろいろな形でSDGsに役立てるということです。

――「貧困をなくそう」「すべての人に福祉と健康を」など、SDGsでは17の大きな目標を掲げていますが、具体的にどんな取り組みが行われているのですか。

グランリド 例えばSDGsの目標の1つに、「ジェンダー平等を実現しよう」があります。モバイルにアクセス可能な女性の人口は、男性よりも2億人少ないのが現状です。我々は50:50の状況が望ましいと考えており、その実現のうえで何か障壁があるのであれば、それに対処していくという取り組みを行っています。

「質の高い教育をみんなに」という目標に関しては、「mSchools」という取り組みをスペインで展開しています。10~17歳の子供たちが、実際に会社を作ったりしながら、モバイルアプリを開発したりするものです。デジタル革命には、子供たちも含まれなければなりません。

また、スイス・アルプスでは、「気候変動に具体的な対策を」という目標実現のため、モバイル事業者が観測の支援を行っています。

「貧困をなくそう」という目標に対しては、東アフリカや南アジアなどで利用されているモバイルマネーが貢献しています。モバイルマネーを利用すると、モバイル端末で仕事の報酬を受け取ったり、食料品の支払いを行うことなどができます。現在、モバイルマネーのアカウントは6億9000万に達しており、1日当たりの決済額は10億ドルに及びます。このモバイルマネーは、貧困にあえぐ人々が利益を得て、貧困から脱却していくうえで、本当に助けとなるものです。
続きのページは「business network.jp」の会員の方のみに閲覧していただけます。ぜひ無料登録してご覧ください。また、すでに会員登録されている方はログインしてください。

スペシャルトピックスPR

hitachi1901
nttcom1902
sbcloud1902

>> 今月の月刊テレコミュニケーション

月刊テレコミュニケーション【特集】5Gだけじゃない!
ネットワークの未来を変える
次世代テックたち

◆5Gの次、6G現る ◆有線IoTの大本命802.3cg ◆ワイヤレス工場の切り札誕生 ◆次世代IP映像伝送「SRT」 ◆ドローンで空からエリア構築 ◆P4が迫る“聖域”開放

●[インタビュー] Colt カール・グリブナーCEO & 日置健二社長/●地域BWA空白地帯を「プライベートLTE」に解放/
●日中間通信の課題と法規制/●モバイルワークの「コスト」と「安全性」 ほか

>>詳しい目次を見る

ホワイトペーパー

スペシャルトピックス

NTTコミュニケーションズ働き方改革を中小・中堅企業へ!

テレワークに必要なモバイルNW、PC、セキュリティをオールインワン提供するNTT Comの新パッケージ

SBクラウド日中間通信を国内並みの高品質に!
安心して使えるQR決済を下支え

Alipayで安定した決済サービスを提供するために導入した回線は?

NECモバイルワークに必須のアイテム
いつでもどこでも内線通話を実現!

NECのUNIVERGE ST500は、スマホを内線端末として利用可能にする。

パロアルトネットワークスパブリッククラウドをセキュアに!
24/365最新ポリシーで自動監視

パブリッククラウドのセキュリティリスクを軽減する「RedLock」

シーディーネットワークス中国でのWeb配信を8.5倍高速化
国内CDN事業者で唯一現地法人

中国でのWeb配信にはグレートファイアウォールなど多くの壁がある。

IIJグローバルソリューションズ日中の拠点間通信に“第3の選択肢”
セキュリティ対策も万全

日中間通信で「高品質」と「低コスト」の“いいとこ取り”!

ヤマハヤマハ独自の音声処理技術で
高音質な遠隔会議を実現!

しかも、規模に合わせて最適なマイクスピーカーが選べる。

TCloud for BizChat「月額180円」という低価格で
本格的な企業向けチャット!

都築電気の「TCloud for BizChat」の最大の特徴が安価な料金だ。

NTTテクノクロス長時間聞き取りやすい!
電話機とつなぐだけで会議を開始

NTTテクノクロスのマイクスピーカーならクリアな音声で遠隔会議。

日立ソリューションズ作業実績を簡単に収集&見える化
「IoTサイコロ」で製造現場改革!

製造現場の働き方改革の「切り札」がIoTサイコロだ。

漏洩同軸ケーブル(LCX)Wi-Fi電波を出すケーブルとは?

無線LANの不感知エリアの撲滅に効果的な「漏洩同軸ケーブル(LCX)」を使いこなせ!

ジュピターテクノロジー標的型攻撃対策としてのログ管理
7万エントリー/秒の高速処理!

ジュピターテクノロジーなら超高速処理と大規模環境に対応できる。

ノキアG.fastで簡単マイグレーション
VDSL回線を1Gbpsに高速化

ノキアのG.fastを使えば、既存のVDSL回線を気軽に高速化できる。

アクセスランキング

tcb
http://amzn.asia/d/ejYdrIg

「通信」の力でビジネスを進化させるbusinessnetwork.jp

Copyright(c) 2018 RIC TELECOM Co.,Ltd. All Rights Reserved. 記事の無断転載を禁じます