企業ネットワーク最前線

4K時代にネットワークカメラのトラフィックはどうさばく?

文◎村上麻里子(編集部) 2018.04.24

  • bookmark
  • Teitter
  • 印刷

ネットワークカメラは4K時代を迎えようとしており、ネットワーク負荷の増大が重大な課題になりつつある。そこでネットワークスライシングやモバイルエッジコンピューティング(MEC)への注目が高まっている。

 
防犯や安全・安心を目的に、監視カメラを導入する企業や自治体が増えている。

2012年に開催されたロンドンオリンピックでは、会場周辺に約3000台の監視カメラが設置された。日本でも2020年に向けて、東京を中心に首都圏では同規模まで設置台数が増えるとともに、併せて監視カメラのネットワーク化が進むと見られている。

フルHDから4Kへの高精細化・高解像度化も進んでいる。4K対応ネットワークカメラなら、遠隔で撮影した映像から特定の場所を切り出してクローズアップしても、ぼやけることなく鮮明に映し出すことが可能だ。このため、平常時は街中やスタジアムなどの広域監視に用い、事件やトラブルが発生した際に不審者の顔や自動車のナンバープレート、手元の紙幣の模様などを拡大表示し確認するといった使い方も実現できる。

ただ、4K対応カメラの画素数は3840×2160で、フルHD(920×1080)の約4倍、SD(720×480)の約24倍にもなる。防犯用途ではカメラを24時間365日稼働し続けることが必要であり、4K映像のデータ量は膨大になる。ネットワークの帯域を圧迫することが大きな課題だ。

屋外にネットワークカメラを設置する場合、自由度の高さから無線ネットワークが適しているが、2020年に商用サービスが始まる5Gを持ってしても限界がある。そこで2つの新技術に期待が集まっている。

通信内容に応じてNWを振り分けNTTネットワークサービスシステム研究所が取り組んでいるのが、NFV・SDN技術を活用した「ネットワークスライシング」だ。

これは、ネットワークを仮想的に分割(スライス)することで、多様なニーズに応える技術のこと。トラフィック量や通信内容に応じて、最適な仮想ネットワークを柔軟に構築する。さらに、NTTの研究所では仮想ネットワークの構築およびトラフィックの振り分けを動的に行う技術など踏み込んだ研究開発に取り組んでいる。

例えば、通常は「ベストエフォートスライス」という速度重視のスライスを用いて標準画質で監視を行い、不審者を検知するとカメラの画質を4Kに切り替えると同時に、ネットワークについても「高性能スライス」に切り替え、高精細な画質で人物を特定可能にするといった使い方が想定されている。

防犯事業者やカメラメーカーなどネットワークカメラを使ったサービスを提供している事業者は、必要なときだけ広帯域のネットワークを使うことができ、コストを抑えられるという。

不審者を発見したら「広帯域のネットワークに変更」といったことが可能に
不審者を発見したら「広帯域のネットワークに変更」といったことが可能に



「トラフィックのひっ迫というIoT/5Gにおける課題を解決する1つの方法であり、アプリケーションからネットワークまで一気通貫に提供できることも重要になってくる」とNTTネットワークサービスシステム研究所 ネットワークシステム研究開発企画推進プロジェクト ネットワークオープンイノベーション戦略DP研究員の吹上悠貴氏は説明する。

NTTネットワークサービスシステム研究所 ネットワークシステム研究開発企画推進プロジェクト ネットワークオープンイノベーション戦略DP研究員 吹上悠貴氏
NTTネットワークサービスシステム研究所 ネットワークシステム研究開発企画推進プロジェクト
ネットワークオープンイノベーション戦略DP研究員 吹上悠貴氏



ネットワークスライシングに加えて、NTTの動的制御機能を使用する場合、動的制御機能が振り分け機能に入ってくるトラフィックを監視しており、その状況に合わせて振り分けルールを動的に切り替えるとともに、オーケストレータにも指示を出すことでスライスが生成される。

例えばトラフィックが増えると、行先の変更と高性能スライスの生成を指示する。これにより、エンドユーザーが意識しなくても常に最適な通信サービスが提供される仕組みだ(図表1)。

 

図表1 「ネットワークスライシング」のイメージ
図表1 「ネットワークスライシング」のイメージ


ネットワークスライシングは、基本的には1つの通信事業者のネットワーク内で提供されるものだが、NTTネットワークサービスシステム研究所では異なる複数の通信事業者が連携したネットワークスライシングの実現も目指している。

異なる通信事業者の回線を相互接続するポイント(POI)における仕様が統一されれば、ネットワークを利用するサービス事業者からの指示により一括で自動設定できるようになる。ネットワークカメラであれば、高解像度の映像伝送向けは大容量通信用ネットワーク、標準画質向けには通常通信用ネットワークというように、サービス事業者が目的に合わせて最適なネットワークを通信事業者に関係なく提供することも可能になるという(図表2)。

 

図表2 事業者を柔軟に組み合わせたサービスイメージ
図表2 事業者を柔軟に組み合わせたサービスイメージ


ただ、その実現のためには越えるべき「壁」も存在する。「ネットワークスライシングにはNTT以外にも多くの企業が取り組んでいるが、まだ標準化方式が定まっておらず、検討すべき課題も多い。安価なサービスとして実用化するには、標準化の段階から積極的に関わっていく必要がある」と吹上氏は話す。NTTネットワークサービスシステム研究所では、複数の通信事業者の連携を可能にするため、実証実験の成果を各種標準化団体にアピールしていく予定だ。
続きのページは「business network.jp」の会員の方のみに閲覧していただけます。ぜひ無料登録してご覧ください。また、すでに会員登録されている方はログインしてください。

スペシャルトピックスPR

sas1808
necaspire
1810yamaha

>> 今月の月刊テレコミュニケーション

月刊テレコミュニケーション【特集】エッジコンピューティング最新案内
<Part1>モバイルキャリアが描くエッジ活用 <Part2>NTT東日本のエッジ拠点に潜入 <Part3>MEC標準化の最新動向 <Part4>AWSとAzureのエッジコンピューティング戦略 <Part5>製造業IoTを加速するEdgecross <Part6>エッジコンピューティングを支えるネットワーク

[インタビュー] ●ネットワンシステムズ 荒井透社長COO 
[ビジネス最前線]●SD-WAN×セキュリティで攻勢/●Ubiquitiが仕掛ける価格破壊 [技術&トレンド]●気づかぬ間に給電 [商品特集]●ネットワーク監視/●次世代FW

>>詳しい目次を見る

ホワイトペーパー

スペシャルトピックス

ゾーホージャパン低価格フローコレクターで
シスコ機器を使い倒そう!

シスコ機器が備えるNetFlowやIP-SLAを活用し、きめ細やかな監視を!

リバーベッドテクノロジーアプリの体感品質を可視化 そのトラブル解決に留まらない効果とは?

「SaaSのレスポンスが遅い」。IT部門の悩みをリバーベッドで解消!

ライトL3スイッチ「SWX3100-10G」行き詰まる小規模NWを変革しよう

高価なレイヤ3スイッチには手が出ないが……。そんな悩みに、新たな選択肢をヤマハが提供する。

IntelligentAVAIエンジンで未知の脅威も自動検知

ウォッチガードのUTMに、マシンラーニングでマルウェアを検知する「IntelligentAV」機能も加わった。

Gigamon通信事業者での採用実績多数!
セキュリティ機器コストも大幅削減

今注目のネットワークパケットブローカー。そのNo.1メーカーとは?

PRTG Network Monitorネットワーク監視を簡単スタート!

NW監視の重要性は分かっているが、人材も予算も不足――。そんな企業に知ってほしいのが「PRTG」だ。

Big Switch Networksウンザリする運用管理とサヨナラ

大量のスイッチを個別に設定・管理する従来型NW運用を、Big Switch NetworksのSDNで革新しよう!

ユニアデックス次世代のネットワーク運用とは?

先進企業はもう始めている「Big Cloud Fabric」によるネットワーク運用変革を事例に学ぶ。

リボン・コミュニケーションズ多様なリアルタイムコミュニケーションでシームレスな通信を実現!

SBCを強みとする2社が合併して誕生したリボン・コミュニケーションズ

SAS Institute Japanデータ解析、もうやり尽くしたと思うのはまだ早い

さらなる品質改善やコスト削減を実現したあの先進企業とは?

潜伏する脅威をAIが検知!
産業用制御システムやIoTも守備範囲

日商エレクトロニクスのセキュリティ対策が“新ステージ”に突入する!

リボン・コミュニケーションズTeamsの電話機能にいち早く対応
UCを狙ったサイバー攻撃対策も

Microsoft TeamsとPSTNをつなぐリボン・コミュニケーションズ

UNIVERGE Aspire WX電話やUC機能を全方位にカバー
中小企業の多様な働き方を強力支援

NECが5年ぶりの中小向けキーテレフォン「UNIVERGE Aspire WX」

F5ネットワークスセキュリティやGi-LAN仮想化など
モバイルインフラの強化に貢献

5G移行を控えた今、F5ネットワークスはどんな価値を提供できるのか?

アクセスランキング

tc1809
compass

「通信」の力でビジネスを進化させるbusinessnetwork.jp

Copyright(c) 2018 RIC TELECOM Co.,Ltd. All Rights Reserved. 記事の無断転載を禁じます