企業ネットワーク最前線

[大容量コンテンツ配信の経済学]4K時代へ進化するCDN

文◎坪田弘樹(編集部) 2018.04.03

  • bookmark
  • Teitter
  • 印刷

インターネット動画はHD品質が標準となっているが、今後は2倍以上の帯域を使う4K動画の配信も本格化する。これを安定的かつ適正なコストで行うことは本当に可能なのか。鍵を握るのはCDNだ。

 
シスコシステムズの年次調査「Cisco VNI」最新版(2017年6月発表)によれば、世界のインターネットビデオトラフィック全体で、CDN(コンテンツデリバリーネットワーク)によって配信される割合は2016年で52%、2021年には71%まで増加する見込みだ。無料または低廉な価格で高精細動画が視聴できるようになった今、CDNは、その環境を支えるためになくてはならない存在と言える。

4K時代を迎え、その存在感はますます高まる。そしてCDNそのものも、大規模ライブ配信の広がりや、放送事業者という新たな顧客からのニーズを背景に変化を求められるようになるはずだ。

本稿では動画配信用途をメインに、CDN業界の最新動向を見ていく。

動画配信を支えるCDNCDNは、なぜ必要なのか。ひと言で言えば、(1)動画等のコンテンツを配信する事業者と(2)視聴者、そして(3)配信経路となるネットワークを運用する事業者(ISP等)のいずれにもメリットがあるからだ。

基本的な仕組みは図表1の通りだ。ユーザーに近い位置(ISPネットワーク等)に配置されたキャッシュサーバーにコンテンツを貯め、そこから配信することで大元の“オリジンサーバー”へのアクセスを減らす。

 

図表1 CDNによる動画配信のイメージ
図表1 CDNによる動画配信のイメージ


改めて、(1)~(3)それぞれのメリットを整理しよう。なお、CDNのコストを直接的に負担するのはコンテンツ事業者であり、配信量に応じて料金を払う従量課金が一般的だ。

(1)コンテンツ事業者は、オリジンとキャッシュ間の通信量が減らせるため、オリジンの設備・運用費やネットワーク事業者に支払うコストを下げられる。また、CDNを利用することで、大量の同時アクセスに対応するためのキャパシティも得られる。人気コンテンツにアクセスが集中しても、ユーザーが動画を視聴できなくなる危険性が低くなるのだ。このリスク回避もCDNの重要な役割である。

(2)ユーザーは、配信経路が短くなることでより快適に動画が視聴できる。これは、コンテンツ事業者にとっても、サービス品質を高められる意味で大きなメリットとなる。

一方、直接的にCDNを利用するわけではない(3)ISPへの影響も大きい。トラフィックが減ることは収益減にもつながるが、反面、帯域が節約されることでネットワーク増設コストが軽減できる。トラフィックが急増し、増設を繰り返している現状においては、ISPも少なからず恩恵を得ていると言えるだろう。

なお、CDNのキャッシュサーバーは一般的に、多数のユーザーを抱える大手ISPの網内に設置されている。ある程度、集中配置することで運用を効率化するためだ。

ただし、中小規模ISPのユーザーに効果がないわけではない。CDN業界トップのアカマイ・テクノロジーズは、中小ISPが接続する「IX(インターネットエクスチェンジ)のすぐ後ろにまとめてサーバーを置くことで、効率的にキャッシュを設置・運用する仕組みを広げている」とAsia Pacific Network Business Development Directorの高梨斉氏は話す。

アカマイ・テクノロジーズ
アカマイ・テクノロジーズ Asia Pacific Network Business Development Directorの高梨斉氏(左)と、
メディアプロダクトマネジメント プロダクトマネージャーの伊藤崇氏

続きのページは「business network.jp」の会員の方のみに閲覧していただけます。ぜひ無料登録してご覧ください。また、すでに会員登録されている方はログインしてください。

スペシャルトピックスPR

intel1906
extreme1906
nttcom1906sp

>> 今月の月刊テレコミュニケーション

月刊テレコミュニケーション【特集】5G時代のエッジ革命
 <Part1> 楽天の5G×MEC革命  <Part2> スマートシティとエッジコンピューティング <Part3> エッジコンピューティングでクルマはどう進化する? <Part4> ローカル5Gと相乗効果も  製造業で進むエッジ活用 <Part5> 五感をエッジデータ化  ヒト視点のエッジコンピューティング <Part6> エッジ運用の課題と対策  <コラム> 5GでエッジAIはさらに進化する

●[インタビュー] サイバーディフェンス研究所 名和利男氏「5Gへの攻撃で国家に大打撃  DX時代は通信がアキレス腱」 ●Wi-Fi 6の使い道を徹底解説 ●セキュリティ人材不足はシェアして解消 ●ビル制御システムはNWで守る ●見えてきた“90GHz帯”5Gの可能性 ほか

>>詳しい目次を見る

ホワイトペーパー

スペシャルトピックス

エクストリーム ネットワークス5万人利用のNWをわずか2名で運用
IT管理者に嬉しいWi-Fi 6対応AP

エクストリームのWi-Fi 6対応APならAI自動RF管理など機能が満載だ。

ネットスカウトシステムズNWを隅々まで可視化してDDoS対策
ボリューム型もL7攻撃も防ぎ切る!

世界最大級の監視システムATLASで全世界のDDoS攻撃を防ぎ続ける!

Synology話題の「メッシュWi-Fi」を選ぶならSynology

ハード性能に加えてソフト機能も充実! ビジネスにも活用できる。

Cloudian HyperStore企業のGDPR遵守を強力サポート!
EB級ストレージを安価に自社構築

Amazon S3と同等のオブジェクトストレージを自社で構築・運用できる

NEC UNIVERGE SVシリーズクラウドとの連携を容易に実現!
新NEC UNIVERGE SVシリーズ

新端末を組み合わせることで、通話にとどまらない充実した機能

インテルキャリア網もクラウドネイティブへ
5G革命を推進するインテル

インテルが5G時代の新NW実現に向けた取組みを加速させている。

エクストリームネットワークスWi-FiとIoTをAIが自動で管理
10万人のスタジアムに搭載

「Smart OmniEdge」がネットワークエッジのトラブルから解放する!

NTTコミュニケーションズeSIMを本格提供! 垂直統合で企業のIoT活用を支えるNTT Com

国内MVNO初のリモートプロビジョニング対応eSIMサービスも提供開始

サクサキャリア網の利用で高い通話品質
スマホ2台までお試し導入も!

サクサのビジネスホンなら、スマホ内線が途切れない! 使い勝手も◎!
NTTコムウェアスマホ内線で高い通話品質を実現!

交換機開発のノウハウを活かしたNTTコムウェアのクラウドPBXは、高い安定性や優れた通話品質が特徴

アクセスランキング

tc1904

「通信」の力でビジネスを進化させるbusinessnetwork.jp

Copyright(c) 2018 RIC TELECOM Co.,Ltd. All Rights Reserved. 記事の無断転載を禁じます