無線LANを変える新規格「IEEE802.11ai」を徹底解説――Wi-Fiスポットへの接続が一瞬で完了

無線LANの接続・認証にかかる時間を0.01秒に短縮する新規格「IEEE802.11ai」の標準化がまもなく完了する。無線LANの利用シーンを広げ、新サービスの創出を後押しすると期待される。

無線LANの利便性を飛躍的に高める新規格がまもなく実用化される。現在、ドラフト3.0がリリースされている「IEEE802.11ai」だ。

11aiは、PCやスマートフォン等の無線LAN端末とアクセスポイント(AP)との接続・認証を高速化するものだ。現在は数秒、混雑時には十数秒かかることもある接続・認証が瞬時(0.01秒以内)に完了できるようになる。これまでは、歩きながら公衆無線LANに接続しようとしても、接続・認証作業が終わる前にそのエリアを出てしまうこともあった。11aiが実用化されればそうした問題が無くなる(図表1)。

図表1 従来の無線LANとIEEE802.11aiの違い(店頭でタイムセール情報を配信する場合)[画像をクリックで拡大]
従来の無線LANとIEEE802.11aiの違い

さらに、クルマや電車での移動中に、無線LANエリアを通過する一瞬の間に接続してデータを送受信するといった使い方も可能になる。

最大6.9Gbpsまで通信速度を高速化する11acのような派手さこそないが、11aiは無線LANの利用シーンを広げ、また、無線LANを使った新サービスの創出を後押しする技術として期待されているのだ。

例えば、流通小売店舗では来店客のスマートフォンに対してセール情報を通知したり、電子クーポンを配信するといったO2O(Online to Offline)サービスに無線LANを活用しようという動きがあるが、そうしたサービスをより多くの人に確実に提供し、効果を高めることが可能になる。11aiを提案し、2011年の第1回会合からタスクグループ(TG)議長を務める真野浩氏は「11aiが普及すれば無線LANの利用マーケットは一気に広がる」と話す。

月刊テレコミュニケーション2015年1月号から一部再編集のうえ転載(記事の内容は雑誌掲載当時のもので、現在では異なる場合があります)

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