商用化目前となった「LED可視光通信」の4つの特徴とは?

アウトスタンディングテクノロジーが「可視光通信」の商用製品を来年3月に発売する。電波による無線通信が持つ諸課題を解決できる光の特性を活かして、多様な市場を開拓しようとしている。

天井のLED照明を取り替えるか、それとも無線LANアクセスポイントを入れ替えたほうがいいのか――。企業のIT管理者がそんな選択に悩む日が意外と早く訪れるかもしれない。

人の目に見える「可視光」を使って行う無線通信技術の研究・開発を手掛けるアウトスタンディングテクノロジー(本社:東京都中央区)が8月、世界初となる商用可視光通信システムの量産化を開始すると発表した。

可視光通信とは、LEDを高速に明滅させることで信号を送受信する仕組みだ。照明設備を無線通信システムとして用いることができ、電波を用いる一般的な無線通信(無線LANなど)と同じように利用できる。既設のネットワークとは、イーサネット経由で接続する(図表1)。

図表1 可視光通信のイメージ
可視光通信のイメージ

アウトスタンディングテクノロジーでは、天井の照明と、PCにUSB接続した端末との間で通信を行う「無線LANタイプ」と、工場施設や機器に組み込んで用いる「FAタイプ」の2種類を2015年3月から発売する計画だ。

「無線LANタイプ」の親機。見た目は通常のLED照明と変わらない
「無線LANタイプ」の親機。見た目は通常のLED照明と変わらない

無線LANタイプで最速20Mbps(通信距離は1~5m、複数台接続が可能)、FAタイプで最速100Mbps(通信距離は0.1~100m)の通信が可能という。なお、価格は、無線LANタイプの天井設置親機が25万円、PC用のUSB子機が1万円、FAタイプは2台セットで25万円を予定している。

無線LANタイプの子機 無線LANタイプの子機
無線LANタイプの子機は、PCにUSB接続するもの(左)や、スマートフォンのイヤホンジャックに接続するもの(右)など複数種類を製造する計画だ

アウトスタンディングテクノロジー 代表取締役の村山文孝氏は、「電波が使えない特殊な環境でも無線通信を行いたいという強いニーズがあり、それに応えるために研究開発を続けてきた」と話す。

代表例が発電所などの電力施設だ。こうした施設内では、機器の誤動作を防ぐため、電磁ノイズを発生させる電波は基本的に使えない。万一障害が起こった場合には、深刻な社会インフラ事故につながるからだ。電話交換機を運用する通信施設やデータセンターなどもその例に該当するという。可視光は電波に比べてノイズが圧倒的に少なく(ゼロではない)、そうしたシビアな環境においても無線通信を可能にする技術として注目されているのだ。

アウトスタンディングテクノロジー 代表取締役 村山文孝氏
アウトスタンディングテクノロジー 代表取締役 村山文孝氏

アウトスタンディングテクノロジーはこれまで関西電力と共同で研究開発を続けてきており、すでに発電所内における実証実験で関電の求める要件をクリアしている。今回量産化を計画している製品は、その成果となるものだ。

月刊テレコミュニケーション2014年11月号から一部再編集のうえ転載(記事の内容は雑誌掲載当時のもので、現在では異なる場合があります)

続きのページは、会員の方のみ閲覧していただけます。

RELATED ARTICLE関連記事

SPECIAL TOPICスペシャルトピック

スペシャルトピック一覧

FEATURE特集

NEW ARTICLES新着記事

記事一覧

WHITE PAPERホワイトペーパー

ホワイトペーパー一覧
×
無料会員登録

無料会員登録をすると、本サイトのすべての記事を閲覧いただけます。
また、最新記事やイベント・セミナーの情報など、ビジネスに役立つ情報を掲載したメールマガジンをお届けいたします。