NTT持株会社は2012年6月22日、鵜浦博夫新社長の就任会見を開催した。
NTT持株の鵜浦博夫社長 |
会見の冒頭、日本電信電話の略称である「NTT」が現在の事業内容にそぐわなくなってきているとして、「N=Next Value Partner、ネクスト・バリュー・パートナー、T=Transformation、T=Total Solution」という新たな定義を披露した。
「NTT」の新たな定義も披露した |
鵜浦社長は、副社長時代に南アフリカのディメンションデータの買収の陣頭指揮を執るなど、グループの海外事業拡大で中心的な役割を果たしてきた。「最近のM&Aやアライアンスはクラウドビジネスに向けてのものだった。変化の激しい分野なので、必要なものがこれからも出てくるのではないか」と語り、その一例として、セキュリティの強化を挙げた。
北米市場では、NTTデータとNTTコミュニケーションズ、ディメンションデータの3社がクラウドビジネスを展開しているが、今夏にも統一ブランドを作り、北米のユーザーにアピールしていくという。
NTTグループは現状、移動体事業のドコモがグループ全体の収益の大半を稼ぎ出す構造となっている。この点について、「これからは法人もコンシューマーも、固定や移動を意識しないクラウド的な分野に入っていく。クラウドビジネスで新たな収益源を見つけたい」と述べた。
目指す企業像について問われると、「通信キャリアならではのクラウド型サービスがこれからの目指すべきもの。米ベライゾン・コミュニケーションズやAT&Tをベンチマークとしていきたい」と回答した。
通信業界ではKDDIがスマートフォンと固定回線をセットで割り引く「auスマートバリュー」により好調を維持している。NTTグループは電気通信事業法の規制により、こうした移動と固定の一体営業が事実上できないとされる。
鵜浦社長は「FMCサービスには、料金バンドルだけでなくサービスも含まれると理解している。固定や移動といったアクセスを意識せずにコンテンツを楽しめるサービスをどのようにユーザーにお届けするかが大きなポイント。総合的なサービスを提供しなければ、日本でコンテンツ的な新ビジネスも生まれてこないのではないか」との考えを示した。