「Web会議は専用道路にご案内」OCN新機能に見るWANのニューノーマル

コロナ禍で激増するWeb会議のトラフィックを「専用レーン」に通す新サービスを、NTTコミュニケーションズが始めた。映像通信を分離することで一般通信への影響も抑え、帯域拡張の効果を最大化するのが狙いだ。映像活用シーンの増加やアプリの多様化が進むなか、WAN発展の方向性の1つとして注目される。

COVID-19(新型コロナウイルス)感染拡大を背景に、今やビジネスに欠かせないツールとなったWeb会議。Microsoft Teams、Cisco Webex、Zoomのいずれかを毎日使っている人も珍しくないだろう。

そのトラフィック量は、コロナ前と比べてどれほど増えたのか。

個人向け/法人向けインターネットサービスを提供する「OCN」のネットワークでは、2019年度末から2020年度末の1年間で、上記3アプリの総通信量が4.1倍に膨れ上がったという。これは、OCNユーザーである企業のオフィスで使われている通信と、自宅でOCNを利用しているユーザーの通信を合わせた量を計測したものだ。

映像コミュニケーションの通信は帯域逼迫の影響を受けやすく、画面が固まったり、音声が途切れたりといったトラブルが発生しやすい。加えて、Web会議の通信量増大が他の通信に及ぼす影響も無視できない。業務用のSaaSアプリ等の通信品質が劣化すれば、会議以外の業務も滞ってしまう。

MS Teams、Webex、Zoom用に「専用レーン」
これに対処するため、2021年7月にOCNが新たに提供を始めたのが「アプリコントロール」と呼ぶ機能だ。「法人向けOCN光 IPoEサービス ワイドプラン」(以下、ワイドプラン)のオプションサービスであり、Microsoft Teams、Cisco Webex、Zoomの3アプリ用に専用の帯域を追加するものである。


NTTコミュニケーションズ プラットフォームサービス本部
データプラットフォームサービス部 担当課長の鈴木健久氏

この新オプションの提供に合わせてNTTコミュニケーションズは、ワイドプランの帯域設計値を4倍に拡大。法人向けOCN光 IPoEサービスを担当するプラットフォームサービス本部 データプラットフォームサービス部 担当課長鈴木健久氏は「その大半を映像コミュニケーションに割り当てることで、快適に使えるようにした」と話す。具体的には、前記3アプリの通信をOCN網内で識別し、他の通信とは仮想的に分離した「専用レーン」に通す。

「アプリコントロール」によるトラフィック分離のイメージ
「アプリコントロール」によるトラフィック分離のイメージ

ワイドプランは2018年の提供開始当初から、一時的に膨大なトラフィックを生じさせるWindows Updateの通信を一般通信と区別する機能を標準で提供していた。「これが非常に好評だったので、同じ仕組みをTeams、Webex、Zoomに適用した」(鈴木氏)。同社の調べでは、映像コミュニケーションに対してこうした通信制御を行うサービスは国内で初めてだという。

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