ハードウェアとネットワークOS、光トランシーバーの柔軟な組み合わせを可能にするオープンネットワーキング。その自由度を手に入れたいと望むネットワーク技術者が増えてきているが、さりとてオープン化の敷居は誰でも簡単に超えられるほど低いものでもない。
実際、カネと時間、手間はそれなりにかかる。
オープン化が成った暁にはCAPEXの低減やベンダーロックインからの解放といった果実が得られるものの、手始めとして検証環境を用意し、運用に必要な知識と技術を身につけるには相応のコストが必要だ。さらには、「これまで通りのネットワーク機器で、なぜイケないの?」という経営層を説得する労苦も覚悟しなければならない。
だから、機が熟するまで――、具体的には「ライバルのあの会社も始めてますよ!」と言えるまで待とうと、様子見しているネットワーク技術者も実は多いのではないだろうか。
そんな技術者たちを後押しする取り組みをマクニカが始めた。各種のホワイトボックススイッチとネットワークOS、光トランシーバーを取り揃え、無料で試験や検証が行える「マクニカ ネットワークOS リモート検証サービス」だ。
図表1 リモート検証サービスで利用できる製品ラインナップ(ハードウェア)
図表1(ハードウェア)、図表2(ソフトウェア)の通り多彩なラインナップを揃えており、オープンネットワーキングに興味をもった入門者から、すでにある程度の経験がある中級・上級者まで幅広いニーズに対応する。マクニカ フィネッセ カンパニー 技術統括部技術第1部第1課の木川拓也氏は、「オープンネットワーキングに興味があるけれども触れる環境がないという人が気軽に試せるようにする。敷居を下げるのが狙い」と話す。
図表2 リモート検証サービスで利用できる製品ラインナップ(ソフトウェア)
オープン化で得られるものとは
このサービスの内容を説明する前に、オープンネットワーキングの意義と効果について改めて整理しておこう。
(左)技術統括部技術第1部第1課の木川拓也氏
(中央)第1統括部プロダクトセールス第1部第1課の渡邊隆宏氏
(右) 技術統括部技術第1部第1課 課長の伊藤友彦氏
これまでのネットワーク機器は、ハードウェアとネットワークOSが一体としてメーカーから提供され、光トランシーバーモジュールについても同一メーカーのものを使うのが常だった。これら3つを分離し、異なるメーカーのハード/ソフトを組み合わせられるようにするのが、オープンネットワーキングの目的だ。
これにより“部品”ごとの個別調達が可能になり、求める機能・性能を組み合わせた柔軟なネットワーク構成が可能になる。最大のメリットはCAPEXの削減だ。ハードウェア性能、ネットワークOSの機能を必要に応じて選べるようになることで、コストを最適化。ハードウェアだけをより高性能なものに入れ替える、同じスイッチを使いながら新たなネットワークOSを試すといった柔軟な対応も可能だ。
特に大きいのが、「サードパーティ製の光トランシーバーを使えること」だと木川氏は指摘する。「純正品と比べて非常に安価なものが使える」ためだ。ネットワーク構成によっては数百の光トランシーバーを使用するケースも珍しくないが、「非純正品を使うことでかなりのコスト低減が期待できる。多くのお客様がそこに注目している」(同氏)。
反面、従来の一体型製品とは運用の仕方が大きく変わるためOPEXの増大を懸念するユーザーも少なくないが、「意外とそうでもない」と話すのは、第1統括部プロダクトセールス第1部第1課の渡邊隆宏氏だ。「OSのインストールと初期設定を自動化するゼロタッチプロビジョニングの仕組みがすでにあるので、導入時の手間がない」からだ。こうした運用の自動化/省力化を目的にオープンネットワーキングに踏み出そうとするユーザーも出てきている。
ただし、先にも述べた通り、オープンネットワーキングを始める際のハードルは低くない。