今後ますます深刻化する介護問題。その解決のためには「科学的介護へのシフトチェンジが必要になる」――。こう話したのは、三菱総合研究所 ヘルスケア・ウェルネス事業本部 本部長の吉池由美子氏だ。
そこで同社が8月4日から、Moffと早稲田エルダリーヘルス事業団と提供開始したサービスが「モフトレ」である。介護業界において現状、取り組みが不十分といわれている自立支援を、ウェアラブルIoTを活用して行うサービスだ。
モフトレの開発コンセプト
高齢者の自立支援が進まない3つの理由吉池氏によれば、要介護の高齢者の自立支援の取り組みがこれまで十分に行われてこなかった要因は主に3つある。
1つは、自立支援の手法が不明なこと。「どうすると自立支援につながるのか分からない」というのが、多くの介護現場の実態だという。しかも、介護者が高齢者の生活をアシストするなか、「高齢者ができることもどんどん奪ってしまい、いろんな機能が低下してしまう」というジレンマも抱えてきた。
2つめは、エビデンスがないこと。自立支援に意欲的に取り組んでいる介護事業者もあるが、「どんな効果があったのか、科学的なデータがまったくとられていない」。
3つめは、報酬体系の問題だ。現在の介護報酬は、要介護状態が重くなると報酬が上がる仕組みとなっており、自立支援に取り組むインセンティブが弱い。
政府は、今年6月に閣議決定した「未来投資戦略2017」において、科学的介護の導入による自立支援の促進を目指す方針を打ち出した。来年4月からは、自立支援に取り組むほど、介護報酬が上がる仕組みを導入する。
自立支援の課題と今後必要なこと
つまり、残る課題は、自立支援の手法が不明なこととエビデンスがないこと。通所介護事業所や居住型施設など向けに提供されるモフトレは、この2つの課題を解決しようというサービスだ。