日本ヒューレット・パッカードは2017年5月26日、データセンター向け製品戦略に関する記者説明会を開催した。このうち、データセンターネットワークに関する製品展開についてレポートする。
HPE・アジアパシフィック部門でデータセンター・ハイブリッドクラウド CTOを務める高野勝氏(左)と
日本ヒューレット・パッカードのデータセンター・ハイブリッドクラウド製品統括本部で
データセンターネットワーキングを担当する山本晃久氏
同社のデータセンターネットワーク向け戦略における最近の大きなトピックが、アリスタネットワークス製品のOEM提供を始めたことだ。ヒューレット パッカード エンタプライズ カンパニー(以下、HPE)のアジアパシフィック部門でデータセンター・ハイブリッドクラウド CTOを務める高野勝氏は、「3月23日からアリスタの製品提供と保守を始めた。今後、アリスタ製品をデータセンター向けの中心に据えていく」と話す。
アリスタネットワークスの製品ポートフォリオ
これにより、HPEのデータセンターネットワーク製品は、大きく3つのラインナップで構成されることになる。下の図表に示した「HPE FlexFabric」「HPE Altoline」そして「ARISTA」だ。
HPEが提供するデータセンターネットワーキング製品のラインナップ
まず、前者2つについて説明すると、HPE FlexFabricは既存データセンター向けの最もスタンダードな製品だ。一方のHPE Altolineは、現在急激に市場が成長している“ホワイトボックススイッチ”である。
ホワイトボックススイッチとは、ネットワークOS/ソフトウェアを搭載しないハードウェアで、ユーザーが自由にOS/ソフトを選んで搭載したり、新たな機能を開発することができる。データセンターネットワークで普及が始まっており、HPE Altolineはそのニーズに応えるものだ。Cumulus Networks、Big Switch Networks等が提供するホワイトボックススイッチ向けのネットワークOSと組み合わせて利用することができる。
2018年にはコアルーター/光伝送も汎用シリコンに
そして、クラウドデータセンター向けの主力製品となるのがアリスタ製品である。HPEは、同社のサーバー製品等と合わせてアリスタのスイッチ製品の提供および保守サポートを行う。
アリスタ製品の特徴について、日本ヒューレット・パッカードのデータセンター・ハイブリッドクラウド製品統括本部でデータセンターネットワーキングを担当する山本晃久氏は、「汎用チップでシスコシステムズと同等以上のものを作るのが彼らの戦略」と話す。
これまで、ベンダー独自ASICが支配的だったネットワーク製品でも汎用シリコンの適用領域は着実に広がっている。下の図表の通り、スイッチおよびエッジルーターについては昨年時点ですでに汎用シリコンの適用が可能になっており、2018年にはコアルーターや光伝送の領域にもその範囲が広がることが予想されているという。
汎用シリコンの適用範囲
なお、ネットワーク向けの汎用シリコンとしてはブロードコムが有名だが、アリスタはそれ以外のCAVIUMや、インテルが買収したFulcrum Microsystemsのチップも採用。これらを「目利きしてスイッチを作っていることがアリスタの特徴だ」と山本氏は話した。
また、これらのハードウェア製品に加えて、ネットワーク仮想化を実現するためのソリューションとして、SDN/NFV関連のソフトウェア製品の開発・提供にももちろん注力している。
クラウドコントローラの「HPE Helion OpenStack」のネットワーク機能を継続的に強化。また、ヴイエムウェアの「VMware NSX」や、旧アルカテル・ルーセントのNuage Networksが提供するSDNコントローラ等も組み合わせて、データセンターネットワークの仮想化、オープン化のニーズに応えていく方針だ。