日本システムウエア(NSW)、PTCジャパン、日本ヒューレット・パッカード(日本HP)の3社は2017年2月23日、製造業をターゲットにした「ファクトリーIoTスモール・スターター・パッケージ」の販売を開始した。名称の通り、工場におけるIoT活用を小規模に始めるに当たって必要になる機器とソフトウェア、および導入・運用を支援するサービスをパッケージにして提供するものだ。
「ファクトリーIoTスモール・スターター・パッケージ」のサービス内容
具体的には、日本HPのIoTエッジコンピューティング向けサーバー製品「HPE Edgeline EL1000 Converged IoT System」(以下、EL1000)に、PTCジャパンのIoT基盤ソフトウェア「ThingWorx」を組み込んで提供し、NSWが導入支援および継続的なプロジェクト支援のサービスを行う。NSWのITソリューション事業本部・ビジネスイノベーション事業部長を務める竹村大助氏は「他にはないパッケージが3社の協業によってできた」と語った。
(左から)日本システムウエア ITソリューション事業本部 ビジネスイノベーション事業部長の竹村大助氏、PTCジャパン執行役員 専務の宮川公延氏、日本ヒューレット・パッカード IoT推進室室長の岡田和美氏
PTCジャパン執行役員・専務の宮川公延氏によれば「3社とも、ファクトリーIoTの引き合いが非常に多い」状況にあるという。だが、「何から始めたらよいのかわからない」「ROIが見えない」「データをどう活用していいのかわからない」「セキュリティが不安」といった課題を解決できず、「PoC(概念実証)に行く前の段階で止まってしまっているお客様が多い」(竹村氏)のが現状だ。
今回のファクトリーIoTスモール・スターター・パッケージは、「その前段階から後押しする」ことをコンセプトに企画されたものだという。
「1カ月前後」でモニタリングシステムを稼働
竹村氏が特徴として挙げたのは次の3つだ。
ファクトリーIoTスモール・スターター・パッケージの特徴
1つは、取得したデータを外部に持ち出さずセキュアな環境で処理できること。PTCジャパンの宮川氏によれば、IoTを始めようとする製造業のほとんどが「外部にデータを出さない」ことを強く要望しているという。そのため、クラウドを用いる一般的なIoTプラットフォームではそのニーズに対応できず、これも工場IoT化の障害の1つになっていた。
そこで、今回のパッケージはクラウドやデータセンターにデータを送るのではなく、施設内に設置するEL1000にThingWorxを組み込み、エッジコンピューティングでデータを処理するかたちとした。これによりセキュリティ面の課題を解決する。日本HPのIoT推進室室長を務める岡田和美氏は、「現場でThingworksのほぼすべての機能が使える。現場に閉じたかたちでまず可視化し、効果をみて、ROIを算出するための基となるデータを取ってもらおうとこの企画を進めてきた」と話す。
なお、EL1000は日本HPのデータセンター向けサーバーをベースに、エッジ向けの耐環境性能(動作温度0~55℃)を備えた製品で、大量のデータ処理にも対応する。(詳細はこちらの記事を参照【コンセプトは「シフトレフト」、HPEがIoTエッジ向け新製品を発売】)
協業する3社それぞれの提供製品・サービスの内容
2つめは、導入支援と、継続的なプロジェクト支援をセットで提供すること。竹村氏によれば、「最初の1カ月間、NSWがお客様と一緒に実装を行うことで、早く着実にモニタリングまでできるようにする」という。立ち上げ後も、トレーニングやヘルプデスクによるサポートを継続的に行い、ユーザー側が自身で追加開発や検証などを実施できるよう支援する。
3つめは、コストだ。買い取りとレンタル型の2つの形態を用意するが、レンタル型(1年間の使用権)の料金は、前述の導入・プロジェクト支援も含めて月額50万円からとなっている。