自動運転をめぐる動きが慌ただしい――。これまで自動運転は、2030年頃を目標に実現しようと研究開発が進められてきた。しかし昨年の秋、安倍晋三首相が、「東京オリンピック・パラリンピックが開催される2020年には、自動運転車がきっと走り回っている」「(2020年の自動運を実現するため)2017年までに制度やインフラを整備する」と宣言。
トヨタ自動車、ホンダ、日産自動車など、日本の自動車メーカー各社も、2020年を目途に自動運転を実用化しようと動き出している。
しかし自動運転は、自動車メーカーだけで実現できるものではない。自動運転に不可欠な要素として、通信やAI(人工知能)などがあり、ICTベンダーによる取り組みも重要になる。
関係省庁も自動運転に積極的そうした中、ソフトバンクは2016年4月、自動運転技術の導入・運用に関するコンサルティングやサービス開発を行う新会社「SBドライブ」を設立した。東大発のベンチャー企業である先進モビリティとのジョイントベンチャーだ。
先進モビリティが中心となって車両製造を行い、SBドライブはソフトバンクグループの技術を活用してサービスを開発。交通サービスを提供する旅客事業者などへは、SBドライブが車両、サービス、通信などをトータルパッケージとして提供する |
SBドライブの代表取締役社長CEOを務める佐治友基氏は、ソフトバンクグループの法人向けイベント「SoftBank World 2016」において、「ソフトバンクが考える自動運転の未来」と題した講演を行った。
SBドライブ代表取締役社長/CEOの佐治友基氏 |
佐治氏によれば、自動運転の関連省庁や自動運転を利用するであろうタクシー会社やバス会社などは、自動運転を好意的に捉えている。
経済産業省と国土交通省による合同ワーキンググループ「自動走行ビジネスWG」では自動運転に向けた実証や公募が行われている |
例えば、通常であればガイドラインを作成して安全面から制約を加えたりする警察庁が、自動運転の実証実験を推し進めるようなガイドラインを発表しているという。その理由として、交通事故死者数の減少が、昨年ついに下げ止まってしまったことを佐治氏は挙げる。
「スピード違反による事故死は下がるところまで行きついたが、漫然運転や脇見運転など人の注意ミスは横ばい。そのような注意ミスを自動運転でカバーすることを狙っている」(佐治氏)
漫然運転や脇見運転など、人の注意ミスを自動運転でカバーできるかもしれないと考えられている |