第3のプラットフォーム活用によるビジネス変革は部分的実施にとどまる

IDC Japanは3月17日、国内ITユーザ企業におけるデジタルトランスフォーメーション(DX)の取り組み状況の成熟度を発表した。これは、同社が2015年12月に実施したWebアンケート結果を分析したもので、従業員1000人以上のDXを推進している大規模企業に所属し、経営戦略の意思決定を承認する部長職以上にあたる243人に対してWebアンケートは行われた。

DXとは、IDCの定義によれば、「企業が第3のプラットフォーム技術を利用し、新しい製品やサービス、新しいビジネスモデル、新しい関係を通じて、価値を創出し、競争上の優位性を確立すること」。そしてここで述べられている第3のプラットフォームとは、「モバイル」「ソーシャル」「ビッグデータ」「クラウド」の4要素。

IDCは、このようなデジタル技術活用による企業のビジネス変革の可能性について、①リーダーシップ変革、②オムニエクスペリエンス変革、③ワークソース変革、④運用モデル変革、⑤情報変革の5つの側面から調査した。成熟度の評価は、IDC MaturityScape(IT環境の導入状況を客観的に評価するためにIDCが開発した手法)に基づいて行った。特定のIT環境について全く導入していない場合をレベル0(未導入)とし、導入後のユーザ企業の成熟度をレベル1(個人依存)、レベル2(限定的導入)、レベル3(標準基盤化)、レベル4(定量的管理)、レベル5(継続的革新)までの5段階で評価する。

調査結果によれば、国内ユーザ企業においては、レベル1の企業が17.2%、レベル2が45.6%、レベル3が28.7%、レベル4が7.2%、レベル5が1.3%であり、国内ユーザ企業の約半数がレベル2(限定的導入)の成熟度。評価尺度別の詳細分析でも、5項目すべての側面においてレベル2の企業が最も多いという結果になった。「国内ユーザ企業では、運用モデル変革などをはじめとして、デジタル技術を用いた変革を推進しているものの、まだ企業の中での一部分の導入にとどまっており、レベル3(標準基盤化)が相対的に多い米国と比較すると、全社的な取り組みが遅れている傾向を見ることができる」という。

IDC Japan ITスペンディング グループマネージャーの廣瀬弥生氏は「国内ユーザ企業のDX成熟度は低く、多くの企業がレベル2(限定的導入)の段階にある。ユーザ企業には、DXの取り組みを全社的な動きにつなげるために、CEOによるDXビジョンを明確にしたリーダーシップが求められる」と分析している。

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