NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクの3社が昨年導入したVoLTE――。現状のVoLTEは、新コーデック「AMR-WB(Adaptive Multi-Rate Wide Band)」の採用により、3G携帯電話の300Hz~3400Hzの音声通信帯域を50Hz~7000Hzまで広げ、自然でクリアな音質での通話を実現している。
2014年12月に3GPPで標準化が完了したVoLTE向けの新しい音声符号化技術(コーデック)である「EVS(Enhanced Voice Services)」は、この現行VoLTEの12.65kbpsとほぼ同等の13.2kbpsのビットレートでありながら、およそ人間の可聴領域に相当する50~14000Hzの音声帯域を伝送できる技術だ。
従来の音声通信向けの時間領域の符号化技術に、音楽向けの周波数領域の符号化技術を低遅延化した上で統合することにより、低ビットレートでも高品位な音声通信を実現したという。
EVSは、NTT、ドコモ、オレンジ、サムスン電子、ボイスエイジ、クアルコム、ZTE、ノキア、エリクソン、フラウンホーファー、ファーウェイ、パナソニックの12社/団体によって3GPPに協同提案された。通信事業者とインフラ・端末・半導体ベンダーが、足並みを合わせて開発に取り組んでいるのだ。
NTT研究所の技術イベント「NTT R&Dフォーラム2015」(2015年2月開催)で行われたEVSのデモ。EVSでは原音と遜色のない音質で伝送できることが示されている |