IIJは2015年2月19日、電力小売事業者向けのスマートメーター活用プラットフォーム「PMS(Power Metering System)サービスプラットフォーム」を開発したと発表。商用化に先駆け、2015年6月上旬から電力小売事業者向けに実証実験環境を提供する。
「モノとモノ、あるいは人とモノがリアルタイムで通信できる時代が来た。IIJはスマートメーターをハブにしたプラットフォームを提供する」と同社 代表取締役会長の鈴木幸一氏は話す。
3つのシステムでプラットフォームを構成
IIJ 常務執行役員 プロダクト本部長の石田潔氏は、PMSサービスプラットフォームを構成する3つのシステムについて説明した。
PMSサービスプラットフォームは3つのシステムで構成される |
1つはルータ機能を搭載した自社開発のサービスアダプター「SA-W1」。IIJが1998年に発売した法人向けルータ「SEIL(ザイル)シリーズ」で培ったノウハウを実装したもので、万全のセキュリティ対策を施しているという。
SA-W1はスマートメーターと接続するために必要なSMA認証を2015年1月に取得。スマートメーターに採用される無線通信規格Wi-SUN対応の通信モジュールを利用し、スマートメーターと家庭内をつなぐ「Bルート」による電力検針データの取得が可能となる。Bルートとはスマートメーターと建物内のHEMS(家庭向けエネルギー管理システム)やBEMS(ビル向けエネルギー管理システム)のコントローラをつないでいるルートのことだ。
SA-W1はスマートメーターと接続するために必要な「SMA認証」を取得 |
2つめはサービスアダプター集中管理システム「SACM(SA Control Manager)」。SA-W1の自動接続や集中管理を行うためのシステムで、設定情報(コンフィグ)を一元管理する。これによってSA-W1は電源を入れるだけで自動的にネットワークに接続し、必要な設定情報を取得して動作することが可能になる。「すべての情報をクラウド側に持っているため、SA-W1は設定不要のゼロコンフィグだ」(石田氏)という。
3つめはクラウド型自動検針システム「PMS(Power Metering System)」。現在開発中のシステムで、収集した検針データやシステム全体の動作状況を確認するダッシュボードや、スマートメーター動作状況の集中管理などといった機能を持つ。電力小売事業者向けのシステム連携用インターフェースも提供し、検針データなどをWeb APIやCSV形式で容易に取得できるという。
スマートメーターの動作状況の集中管理機能などを持つPMS |
無償で実証実験トライアル環境を提供
IIJでは2015年6月上旬から実証実験トライアル環境を提供する。費用は無料で、対象は電力・エネルギー事業を実施中もしくは検討中の事業者。トライアル期間は最大1年程度である。
2016年4月からは本サービスをスタートさせる。提供料金は未定だ。