――コミュニケーション/コラボレーション領域のビジネスについて、2014年はどのような年でしたか。
板垣 堅調に成長しています。力強くビジネスを推進できていますね。
山銅 ユニファイドコミュニケーション(UC)の販売状況については、すでに大企業をターゲットにしたものではなくなってきました。シスコでも従業員数3000名以下、1000名以下の企業のお客様が増えており、その伸び率は驚くほどです。
――要因は何ですか。
山銅 UCの導入が中堅企業に広がるトリガーになったのはスマートデバイスです。普段の生活で電話・メール以外のコミュニケーションをするのが当たり前になりました。
――仕事でも同じ環境を求めると。
山銅 チャットもビデオも特別なものではなくなりました。UCの必要性はずいぶん前から言われてきましたが、ようやく「電話とメール」からの脱却が年代を問わず起こってきました。
板垣 ビデオの低価格化、クラウド化が進んだことも大きく影響しています。コモディティ化というにはまだ早いですが、じわじわと普及している実感がありますね。
また、政府の取り組みも後押しになっています。官公庁や自治体がテレワークの推進、女性活用に取り組んでいますが、これらを実現するには新たなコミュニケーションの仕組みが必要です。企業でもそれらを目的とした投資が1年前と比べると明らかに増えています。お客様と話しても、引きが違うなという感触が確かにあります。
シスコシステムズ コラボレーション アーキテクチャ事業ビジネスデベロップメント ビジネスデベロップ メントマネージャーの板垣利和氏(左)と、シニア プロダクト セールス スペシャリストの山銅章太氏 |
「また10年、PBXを使うのか」
――PBXの更改を機にUCを導入する企業もかなり増えてきました。
山銅 「また10年、PBXを使うのか」という疑問と、コストを下げたうえで以前とは違うものを導入したいという要求は、経営層からも自然に出てきています。単純な電話のリプレースは、かなり少なくなってきていますね。
――ユーザーの考え方やニーズが変化していることはわかりましたが、UCのコンセプトは各ベンダーとも似ています。その中でシスコがビジネスを伸ばせた要因は何ですか。
山銅 今年伸びた要因の1つは市場価格の見直しです。他の国内メーカーとの価格ギャップを埋め、なかでもオールインワンのUCの付加価値を追加したパッケージ製品「Business Edition 6000」が好調です。
もう1つ、国内のUC運用・利用に合わせて機能のローカライズを進めてきたことも大きく影響しています。ピックアップやパーク保留など、絶対になくならない日本のやり方に、シスコも対応しております。
これによって、従来の電話機能を踏襲しながらプラスαとして、ビデオやチャットが使える、外出先からもスマートフォンで内線ができるようになるというマイグレーションパスを提供することが可能になっているのです。