通信事業者のビジネスを支える最新技術・ソリューションをテーマにした專門イベント「第14回次世代ネットワーク&サービスコンファレンス」(主催・リックテレコム)が、2014年11月26日、東京・御茶ノ水のソラシティカンファレンスセンターで開催された。
次世代ネットワーク&サービスコンファレンスは、通信事業者やデータセンター事業者、サービスプロバイダー、CATV事業者などを対象に毎年開かれている。
今回は通信事業者の次世代ネットワークのキーワードとして、NFV/SDNと4G/5Gに焦点が当てられ、「S.次世代サービス戦略」「A. NFV/SDN戦略」「B. 4G/5G戦略」「C. 最新技術&ソリューション」の4コース14セッションが行われた。また、展示も、 SDN(Software Defined Networking)やNFV(Network Functions Virtualization)などの新技術を通信事業者のネットワークでどのように活用するのかを中心に10社による紹介が行われ、関心が集まった。
協業モデルで新サービスを
カンファレンスは、NTT(持株会社)常務取締役技術企画部門長の小林充佳氏による「S.次世代サービス戦略コース」の基調講演「2020年に向けたNTTグループのネットワークビジョン」で幕を開けた。
NTT 常務取締役 技術企画部門長の小林充佳氏 |
小林氏はまず、日本の光ブロードバンドの世帯普及率は49%と、韓国の70%に次ぐ世界第2位の位置にあり、欧米などに比べ突出した状況にあることを示した上で、すでに95%の世帯で光ブロードバンドが利用可能となっており、このインフラをどう活用していくかが大きな課題となっているという認識を示した。
小林氏がその打開に向けた新たなチャレンジとして紹介したのが、5月に発表したNTT東西による光サービス卸(光コラボレーションモデル)の取り組みである。
光サービス卸はNTT東西が「フレッツ光」のブランドで販売している光回線を、ISPをはじめとする他の企業に大口割引料金で提供するもの。これらの企業は光回線を自らのサービスとパッケージにして自社ブランドで販売できる。「フレッツ光」は全国で1800万回線が使われているが、近年加入者の伸びが鈍化傾向にある。光サービス卸は、その打開策として打ち出されたものだ。
小林氏は「これまでは光回線のアプリケーションをNTTグループが自ら考えて販売してきたが、我々通信事業者の能力には限界がある。多様なパートナーの力を借りて、サービスをイノベートしていきたいと考えた」とその狙いを説明する。
さらに「パートナーにはISPやMVNOの他に通信業界以外の多様な企業が考えられる」とし、一般産業の企業による利用が広がることを期待しているとした。「今後はサービス卸をベースに2020年に向けて料金やビジネスモデルを変えていきたい」という。
最後に小林氏は、こうしたコラボレーション型のビジネスを伸ばしていくには、工事の進捗、課金、障害、回線品質などの情報をパートナー企業にリアルタイムで提供できる環境の整備が不可欠になるとした上で、これを実現するために「クラウド・仮想化技術をフルに活用した新たなネットワーク『TAF(Trusted and Adaptive Fabric)』を2020年に向けて構築していく」と述べた。TAFとは パートナーの様々な要望に迅速かつ的確に対応する、信頼感としなやかさを併せ持つ(=タフな)ネットワーク を意味する。来年5月の決算発表でその具体策を明らかにするという。