ブラウザ上で、音声やビデオによるリアルタイムコミュニケーションを実現する革命的なテクノロジー「WebRTC」。現時点ではまだ、標準化やブラウザへの実装が進行中の段階であるため、利用が本格化しているとはいえないが、徐々にその動きは活発化している。
例えば、国内でいち早くWebRTCを採用しているのが、クラウド型の法人向けチャットサービス「チャットワーク」を提供するChatWork(東京都台東区)だ。
以前はSkype連携だったが、WebRTCでワンストップ提供が可能に
チャットワークは、ブラウザ上でグループチャットやタスク管理、ファイル共有ができるサービスとして2011年3月に提供を開始。当初から法人にターゲットを絞っており、現在4万5000社以上が利用、アクティブユーザー数は35万を数える。
従来はテキストチャットによるコミュニケーションツールとして展開してきたが、1年前の2013年5月に実施したアップデートで、WebRTCを使って音声・ビデオ会議、画面共有ができる新機能を追加した。専務取締役CTOの山本正喜氏は「以前から音声・ビデオ会議は絶対に必要と考えていました。テキストでは説明しにくいことを伝えたり、相手の顔を見てコンディションを確認しながら話したいといった場面のために、従来はSkypeと連携していましたが、できれば我々のサービスだけで完結させたかった。WebRTCが出てきたことで、ワンストップで提供できるようになりました」と語る。
チャットワークのビデオ会議画面。テキストチャットの流れからクリック1つで、シームレスに移行できる |
売りは、テキストチャット画面からボタンをクリックするだけで、ブラウザ上でそのまま音声・ビデオ会議(有料プランでは最大14名の会議通話も可能)や画面共有が利用できる点だ。従来は、チャットワークのプロフィールにSkypeのIDを登録しておき、通話ボタンを押すとSkypeが起動してコールがかかる仕組みを用意していた。だが、当然ながらSkypeのインストールが必要で、2つのツールを使い分け、IDも2種類を管理しなければならない。チャットワーク自体に機能を搭載することで利便性は大きく向上し、ユーザーからの評判は上々という。