「クラウドとビッグデータ、モビリティ、ソーシャルビジネスの4つを柱とするのが『第3のプラットフォーム』。この第3のプラットフォームが今、企業で構築されようとしている」
IDC Japan ソフトウェア&セキュリティ シニアマーケットアナリストの入谷光浩氏によると、第3のプラットフォームが構築されるようになったのは2006年からのこと。過去を遡れば、メインフレームを中心とした「第1のプラットフォーム」と、クライアントサーバーで構築された「第2のプラットフォーム」の時代が続いてきた。
コンシューマー向けのITが企業でも活用される時代
3つのプラットフォームの違いについて、入谷氏はユーザー数やアプリケーションの数などを挙げて説明した。
1964年から始まったとする第1のプラットフォームは、全世界のユーザー数が数百万人程度であり、アプリケーションも数千種類ほどしかなかった。ITプロダクトは企業向けに設計されたもので、「ハードウェアだけでなくソフトウェアによるサービスも提供され始めた」という。
第2のプラットフォームは1981年を起点とする。ユーザーが数億人規模に増加し、アプリケーションも数万種類規模に増えてきた。ITプロダクトは企業向けにデザインされているが、それをコンパクト化、シンプル化させてコンシューマーにも提供されるようになった。「(先進国では)誰もがITプロダクトを使うようになり、それによってITを活用したビジネスも生まれてきた」と入谷氏。
そして第3のプラットフォームでは、ユーザーが数十億人規模となり、アプリケーションは数百万規模に増えてきた。ITプロダクトの多くはコンシューマー向けに設計され、機能を拡張したものを企業が利用するようになった。「様々な情報をもとに人々の生活やビジネスにイノベーションを起こしていく時代を迎えており、2020年には第3のプラットフォームが主流になっているはずだ」
第1・第2・第3のプラットフォームそれぞれの特徴と違い |
入谷氏は第3のプラットフォームの事例をいくつか紹介した。そのうちの1つが、米国の自動車保険会社によるビッグデータ活用。米国の自動車保険会社は、顧客の車の修理手続きまで行う必要があるが、米国の国土は広大だ。なかには雹(ひょう)がよく降る地域もあり、従来、雹が降ると車の修理の要望が殺到し、自動車保険会社の担当者はそのたびに苦労を強いられていた。
だが、ビッグデータを活用することで、天気予報や地理的な特徴など、様々な情報を集めて分析できるようになった。そしていつ雹が降るのか、どの地域に降るのか、その地域にはどんな車種が多く、どんな部品が必要となるのかといったことを予測し、あらかじめ自動車修理工場の手配を行えるようになったのだという。「こうしたことを行うためにはイノベーションを起こす必要であり、それにはいくつかのポイントがある」と入谷氏は話す。