インターネットイニシアティブ(IIJ)とIIJエンジニアリングは2025年10月2日、横浜市選挙管理委員会、ムサシと共同で、選挙における投票環境の向上を目的とした実証実験を行ったことを発表した。
実証実験のシステムイメージ
共通投票所や民間施設への期日前投票所の設置など、利便性向上に向けた取り組みが広がる一方で、本人確認や二重投票防止のためには全投票所をセキュアに接続する必要がある。実証実験では、IIJの閉域ネットワークサービスを用い、インターネットに接続しない環境を構築。投票所側にはNTTドコモ網とKDDI網に対応した閉域SIMを1枚ずつ搭載するマルチSIMルータ(Peplink製)を設置した。電波状況に応じてキャリアを自動切り替え、ガバメントクラウド上の投票管理システムと安定通信を維持できることを確認した。
ガバメントクラウドへの接続には「IIJプライベートバックボーンサービス/Smart HUB」を活用し、クラウドやオンプレミス環境に依存しない柔軟な運用を可能にした。
従来の投票所ネットワーク構築には専用線接続が必要となり、高コストと長い導入リードタイムが課題だった。今回、モバイル閉域網を利用することで、短期間・低コストで柔軟に投票所ネットワークを構築できることを確認したとしている。
共同実証における役割は、IIJがモバイルサービスや閉域ネットワークの構築を担当し、IIJエンジニアリングがマルチSIMルータの構築を担った。横浜市選管は投票所の提供、ムサシは投票管理システムを提供した。