NTT東日本とNTT西日本は2025年9月29日に記者説明会を開催し、メタル設備を利用した固定電話サービスについて、2035年までを目途に、光回線やモバイル回線を活用したサービスへ段階的に移行すると発表した。
(左から)NTT東日本 取締役執行役員 経営企画部部長 城所征可氏、NTT西日本 取締役執行役員 経営企画部部長 黒田勝己氏
メタル固定電話の代替サービスとして、光ファイバーによる固定電話サービス「光回線電話」、モバイル網を活用した「ワイヤレス固定電話」、ブロードバンドサービスと固定電話を利用できる「ひかり電話」の3つを、顧客の利用環境や要望に応じて提供する。
光回線電話とワイヤレス固定電話は現在、NTT東西が指定する特定エリアのみでの提供に留まっているが、「光回線電話は、10月1日より全国の光提供エリアで提供開始する。ワイヤレス固定回線も制度・準備が整い次第、全国に広げていく」とNTT東日本 取締役執行役員 経営企画部部長の城所征可氏は述べた。
なお、メタル固定電話から代替サービスへ移行する際に発生する初期費用は無償にするという。
メタル固定電話の代替サービスとして、光回線電話・ワイヤレス固定電話・ひかり電話を提供
光やモバイルを活用したサービスへ移行する背景について、城所氏は「メタル設備の設備更改には多大なコストがかかり、ユニバーサル基金等の国民負担を増大させる可能性がある。IP技術が主流となるなか、メタル設備に係る技術者の確保も困難で、コストをかけたとしても現在のサービスレベルの維持は難しい」と話した。
メタル固定電話の加入者もピーク時と比べて大幅に減少しており、2023年度の契約者数は1998年度比で約80%、通話時間は対2000年度比で約96%減少しているそうだ。
メタル固定電話は200~300円値上げ
また、メタル固定電話の料金改定を2026年4月より実施する。住宅用は200円値上げして月額1900円、企業・店舗などを対象とする事務用は300円引き上げて2800円とする(いずれも税抜、加入者規模が40万人以上の3級局の場合)。
今回の料金改定は、老朽化したメタル設備の保全・更改、事前災害対策、それらに必要となる人材育成・採用といった課題に対応するためのものだと城所氏は説明した。