オブザーバビリティ製品を提供するDatadog Japanは2025年6月4日、フラッグシップと位置づけるユーザー向けイベント「Datadog Live Tokyo 2025」を開催した。Datadogのユーザー企業・パートナー企業の担当者が登壇し、オブザーバビリティが自社プロダクトにどのような効果をもたらしたかを“生の声”で参加者に伝えた。
Vポイント基幹システムの段階的クラウドシフトを支える
CCCMKホールディングスは、1.3億人の会員を擁する共通ポイントサービス「Vポイント」を運営する企業だ。2003年に「Tポイント」としてサービスを開始し、2024年には旧Vポイントと統合する大幅リニューアルを実施した。以降、会員ランクに応じて景品が当たる「Vランク」や、ポイントで投資体験ができる「Vポイント運用」など、昨年だけでも数々のサービスをリリースした。
CCCMKホールディングス テクノロジー戦略本部 本部長の松井太郎氏
サービスや機能の追加を積極的に進める一方で、システムはオンプレとクラウドが混在し、複雑さが進行。開発・運用においてクラウドの柔軟性を十分に活かせない、障害の可視化が困難といった課題が顕在化していた。
こうした課題の解決を見据え、同社は基幹システムを2030年までクラウドへ全面移行する方針を掲げた。CCCMKホールディングス テクノロジー戦略本部 本部長の松井太郎氏は、「移行までたった5年しかないなか、採用する技術の運用実績を社内で積み、組織も新しい基盤にフィットさせることのできる『段階的クラウドシフト』が必要」と話した。
その段階的な移行を支えるカギとして、2024年12月からDatadogの利用を開始した。監視基盤の統一と障害対応の迅速化を狙い、まずはメトリクス監視やAPM(アプリケーションパフォーマンス監視)、ログ監視を導入した。Datadogのダッシュボードを用いて障害発生時の全体像を迅速に把握できるようになったほか、開発中のAI関連機能の監視にも応用されているという。
Vポイント基幹システムの段階的クラウドシフトのロードマップ
松井氏は、Vポイントシステムのクラウド移行だけでなく、「(将来的には)CCCグループ全体がクラウドシフトする上での統一運用基盤として、Datadogを活用していきたい」と語った。