電通、電通デジタル、日立製作所の3社は2025年4月23日、生成AIを活用した生活者向けのサービス実現を目指す戦略的協業プロジェクト「AI for EVERY」を開始したことを発表した。
(左から)dentsu Japanの並河進氏、電通デジタルの山本覚氏、日立製作所の吉田順氏
日立は製造業、電力、鉄道などの産業領域に対して生成AIソリューションを開発・提供し、業務プロセスの改善に貢献している。また、社内でもシステム開発の全工程に生成AIを適用することにより生産性を30%向上させた実績があるなど、生産性向上を通じ労働力不足という社会課題解決に取り組んでいる。
日立の生成AIの取り組み全体像
一方、電通グループはAIコピーライター「AICO」を2016年に開始したのを皮切りに、9年以上のAI活用の歴史を持つ。生成AIの登場以降はAIビジネスをより加速させ、例えば電通デジタルが提供するマーケティング用途のAIエージェント「∞AI」は企業の広告制作・運用やプランニングに多く活用されているという。
電通グループのAI活用の歴史
生成AIを活用した顧客企業の売り上げ増に向け協業
日立製作所 AICoE Generative AIセンター 本部長の吉田順氏は、「生成AIが話題になった2023年以降、コスト削減の話題は多い。一方、減らしたコストを使って売り上げを伸ばしたいというニーズは今後増えていくことが予想されるが、こうしたトップラインを拡大するには自社だけでは難しい側面がある」と、今回の協業の背景を説明した。
協業プロジェクト「AI for EVERY」の概要
吉田氏は、「トップラインを拡大するには生活者の視点が大事」と続け、生産工程の効率化に強みを持つ日立と、膨大な生活者データやマーケティング施策の実績を持つ電通グループが組むことで、「生活者支援からバックエンドまで、エンドツーエンドで支援できる」とした。