生成AI向けデータセンターは「電力と通信がバラバラでは追い付かない」 総務省と経産省が「ワット・ビット連携懇談会」立ち上げ

生成AIが社会に浸透していく中、データセンターの電力問題が重大な課題の1つとなっている。総務省と経産省は、大量の電力を必要とするデータセンターの迅速な整備を実現するため、電力インフラと通信インフラを効果的に連携する「ワット・ビット連携」の推進を目指した官民懇談会を立ち上げた。

(左から)経済産業副大臣 大串正樹氏、総務副大臣 阿達雅志氏、総務省 事務次官 竹内芳明氏

(左から)経済産業副大臣 大串正樹氏、総務副大臣 阿達雅志氏、総務省 事務次官 竹内芳明氏

「通信量の増大やAIの普及等で、データセンターの需要が急速に拡大することにより、電力需要の一層の増加が見込まれる中、データセンターを脱炭素電源の豊富な地方等への立地を促進していくことなどが有効だ。このため、インフラ整備にあたっては、電力と通信の効果的な連携、いわゆるワット・ビット連携が重要であると、私としても問題意識を持ってきた」

総務省と経済産業省は2025年3月21日、「ワット・ビット連携官民懇談会」の第1回会合を開催。冒頭挨拶した総務副大臣 阿達雅志氏はこのように述べた。

ワット・ビット連携官民懇談会の目的は、大量の電力が必要なデータセンターインフラを、AI活用による成長や脱炭素の同時実現も目指しながら、迅速に整備していくための連携・協調を推進していくこと。具体的には、電力事業者、通信事業者、データセンター事業者の投資の予見性を高めるため、新たな集積を目指すエリアの要件設定などについて議論する。

経済産業副大臣の大串正樹氏は、「海外でも、すでに次世代のAI技術の実現に向けて、大規模なデータセンターと電力インフラを一体的に整備する動きが始まっている。脱炭素と経済成長、あるいは生成AIの活用による社会的課題解決で日本が後れを取らないように、そしてむしろ先陣を切っていけるかは、この会議にかかっているといっても過言ではない」とワット・ビット連携官民懇談会の意義を強調した。

石破総理は2月20日のデジタル行財政改革会議で、村上総務大臣と武藤経済産業大臣に対して、今年6月をめどにワット・ビット連携の取り組み方針の具体化を図るように指示しており、「現政権の重要政策の1つとなっている」(阿達総務副大臣)。

ワット・ビット連携官民懇談会の座長は、慶應義塾大学教授の村井純氏。また、NTT副社長の川添雄彦氏、KDDI常務で次期社長の松田浩路氏、ソフトバンク社長兼CEOの宮川潤一氏、日本データセンター協会理事長でさくらインターネット社長の田中邦裕氏、東京電力パワーグリッド副社長の岡本浩氏らが構成員を務める。

会合は「原則非公開」で行うという。

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