NTTとNTTドコモは2025年3月3日、6G時代の高機能サービス利用に向け、ネットワークとサービスの連携によるコンピューティングサービスのオンデマンド一括制御の実証実験に成功したと発表した。
実証実験の概要
この実験は、ノキアの協力のもとで実施され、GSMAが規定するOpen Gateway/CAMARA APIを用いた。モバイルネットワークの状況に応じた経路制御技術や、ユーザー通信装置近傍に設置するサーバー(コンピューティング)との接続・連携制御技術を新たに開発・実装した。
実証実験のシステム構成
これにより、ユーザーの要望に基づき、ネットワークとコンピューティングの双方にまたがる品質要件を、APIだけで短時間に実現できることが確認されたという。さらに、In-Network Computing(INC)アーキテクチャを活用し、リアルタイムで映像データを転送しAI解析を行うケースに適用した結果、AIモデルの性能限界90%を達成可能であることが明らかになったとしている。INCとは、アプリケーションレイヤの処理機能をスイッチなどのネットワーク内の装置に移譲し、遅延や端末の消費電力を低減しつつ、高性能・高機能なサービスを実現する技術コンセプト。
ネットワークを介して映像を送信しAIで解析した結果の表示画面
現在、6Gの国際標準化に向けた議論が各国・各団体で進められており、3GPPでは2025年以降にアーキテクチャやプロトコルなどの技術仕様の策定が予定されている。6Gのユースケースとして、新たに没入型XRやAI/ML、センシングなどのサービスが提案されており、これらのサービスを高品質に提供するためには、通信処理だけでなくサービスのデータ処理までを含めてコントロールし、品質を担保することが求められる。
NTTとNTTドコモは、6G時代のサービスを支えるネットワークの要素技術として、In-Network Computingの活用を検討しており、今回の実証実験はその一環として実施された。
なおこの成果は、2025年3月3日からスペイン・バルセロナで開催されるMWC 2025において、ノキアのブースで次世代アーキテクチャの取り組みとして展示される。