ポストスマホ時代における生成AIの未来をNRIが展望「AIディバイドはAIエージェントで解決」

野村総合研究所(NRI)が、「データ活用とAIの進化は私たちの生活とICT産業をどのように変えるのか」をテーマにしたメディアフォーラムを開催した。ポストスマホ時代における生成AIのインパクトや、AIディバイドによる分断の回避に向けた提言などを行った。

野村総合研究所(NRI)は2024年12月24日、書籍「ITナビゲーター2025年版」の発刊にあわせて記者説明会を開催。生成AIに関する今後の動向を解説した。

まずNRIが生成AI時代の技術トレンドとして挙げたのが、スマートウォッチやスマートグラスなどの「ポストスマホ」だ。

同社が実施したアンケートによると、2030年にスマートフォンの利用意向はあらゆるシーンで減少し、ポストスマホへの需要が増加する見込みだ。集中力低下や睡眠障害等を引き起こすおそれがある「スマホ漬け」への懸念が背景にあるという。

スマートフォン/スマートウォッチ・リングの利用意向

スマートフォン/スマートウォッチ・リングの利用意向

ポストスマホの普及により、画面がなくても画像や音声で情報のインプット・アウトプットが可能になるとNRI ICT・コンテンツ産業コンサルティング部 エキスパートコンサルタントの名武大智氏は予測した。家事やスポーツなど両手が塞がっている際に使用できるうえ、画像・音声入力ができれば業務・学習効率の向上も期待できる。

AIによるモバイル端末の利用

AIによるモバイル端末の利用

米Humane AIが開発するピン型デバイス「AI Pin」や、今年9月にMetaが発表した次世代スマートグラス「Orion」など、すでに市場投入されているポストスマホは存在するが、「AI Pinはクラウドと連携してコミュニケーションを取るという手法を取っているため、レスポンスが返ってくるまでに時間がかかる。Orionも1台につき150万円と高価」(名武氏)。

現状はスマホに搭載するAIの精度向上にフォーカスが当たっているが、2025年以降はスマートグラスやイヤホンなどスマートフォンを補助する端末にAIが実装されていくという。その後、操作性のさらなる向上や端末価格の低下により、「AIがデバイスを通じて身近な存在となり、消費者の体験を支配する可能性がある」と名武氏は述べた。

AIによる消費者体験の支配へ

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