スマートフォンやタブレット、ウェアラブルデバイスなど、身の回りには様々なデバイスが存在する。これらを使い続けるうえで課題となるのが充電だ。電池性能が向上しているとはいえ、1日~数日に1回は充電する必要があり、煩わしさを感じるユーザーが少なくない。
NTTドコモは解決策として、ユーザーが意識しなくてもいつの間にか充電が行われる「アンコンシャス充電」の実現を目指している。その先行開発の1つに、室内光発電がある。
室内光発電は、蛍光灯やLED照明といった屋内の照明機器の光を電力に変換する技術だ。「照明機器は部屋の中を明るく照らすという役割は十分に果たしているが、つけっぱなしなどエネルギーとしては無駄になっていることが多い。何か有効活用する方法はないかと考えたことが、開発のきっかけになった」とドコモ R&Dイノベーション本部 モバイルイノベーションテック部 IOWNデバイス推進担当 主査の横山光一氏は話す。
NTTドコモ R&Dイノベーション本部 モバイルイノベーションテック部
IOWNデバイス推進担当 主査 横山光一氏
室内光発電の仕組みは、基本的に太陽光発電と同じで、パネルを使って光のエネルギーを電気に変換する。ただ、太陽光発電パネルには結晶シリコン太陽電池が使われているのに対し、室内光発電パネルには電気を通す透明なガラスと色素を吸収する酸化チタン膜、電解質を用いた色素増感太陽電池が使われている点が異なる。
色素増感太陽電池は、室内光に対する高い変換効率が特徴だ。ただ、そもそも室内光は太陽光と比べて照度が低く、得られる電気エネルギーは大きくない。このためドコモは当初、家庭のリビングやオフィスに室内光発電パネルを設置してモバイルバッテリーに蓄電し、災害時や停電時など非常時の給電に活用することなどを考えていたという。