その話題を耳にしない日はないほど、大きなトレンドとなっている生成AI。通信事業者も当然、この潮流に無縁ではいられない。
今年2月末に開催された世界最大の通信業界イベント「MWC 2024」でも早速、AI PhoneやAI PCはもちろんのこと、胸元に装着する小型のAIピンなど、様々なAIデバイスが紹介されていた。
「こうした新たなAIデバイスがネットワークにつながるようになれば、スマートフォンとは異なる料金プランが必要になります。ニーズに合わせて新たなプランをタイムリーに提供するためのプロセスやシステムが競争優位性に直結します」
こう述べるのは、セールスフォース・ジャパンの染谷紀子氏である。
企業向けの通信サービスでも同様だ。独自LLMの開発や学習のために必要なコンピューティング基盤と既存ネットワークを高速につなげたい、生成AIで制御するファクトリーオートメーションでプライベート5Gを導入したいなど、新たに生まれる幅広い要望に、どれだけ迅速に対応できるかがいっそう問われていく。
そんな生成AI時代、通信事業者のオペレーション自体も生成AIの活用により、さらなる高度化を図っていく必要がある。
「生成AIの浸透で多様化・進化する顧客ニーズに迅速に応えるには、通信事業者の生成AIの効果的な活用が不可欠です」と染谷氏は言う。
現に、先進的な通信事業者は生成AIの活用に向けて、様々な取り組みを開始している。
例えばソフトバンク、韓国SKテレコムら大手通信事業者5社は、通信業界のニーズに特化した生成AIの開発に向けて「Global Telco AI Alliance」を立ち上げ、合弁会社も設立予定だ。