ブイキューブとプレミアコンファレンシング(PGi)は2011年7月13日、ビジネス提携契約を締結したと発表した。
ブイキューブは国内シェアトップのWeb会議ベンダーだ。ASP/SaaS型では4年連続の1位を記録している。一方のPGiは国内2位の電話会議サービスプロバイダー。国内13都市・世界45カ国66都市に市内料金で電話会議に参加可能なローカルアクセス番号を持つグローバル展開を特徴にしている。
主に国内向けの「Ready Conference」とグローバル向けの「Global Meet」の2つの電話会議サービスを提供するPGi。国内でのシェアは21%と2位。グローバルに拠点持つ企業としては1位になるという |
今回の具体的な提携内容は、技術面と販売面の大きく2つからなっている。まずは技術面だが、PGiの電話会議サービスとの連携により、回線交換の固定電話や携帯電話からブイキューブのWeb会議に参加できるようにする。会議用の「V-CUBEミーティング」と資料共有用の「V-CUBEペーパーレス」が対応する予定だ。
今回の提携内容 |
Web会議というと、映像のほうにどうしても目が行くが、実利用において品質がよりシビアに問われるのは実は音声のほうである。相手の顔の映像が乱れても何とかなるが、音声が途切れたりクリアでなかったら会議は成り立たない。
Web会議の音声部分はもちろんVoIPベースで、足回りにはインターネットを利用している。このため音声品質は、ネットワークの品質に大きく左右されることになる。「日本のようにインフラが安定しているところならいいが、アジアなどインフラが整っていない地域ではVoIPベースではクオリティに若干問題があった」とPGiの宮地孝幸代表取締役副社長。さらにブイキューブの間下直晃代表取締役社長は「国内でもまだ足回りの良くないところはある」としたうえで、「映像は多少汚くても大きな問題はない、というのがユーザーの声。いかに音声をくっきり伝えるかが重要だ」と今回の提携の意義を説明した。
会見ではデモも披露。会議室側から電話発信して電話による会議参加を呼び掛ける「ダイヤルアウト」と、参加者から会議室の電話番号にかける「ダイヤルイン」の両方の接続方法に対応する |
連携サービスは3段階で展開していく予定。8月のステップ1で国内での利用希望ユーザー向けの電話会議サービス「Ready Conference」との連携に対応し、ステップ2で国内外向けの「Global Meet」に対応。そしてステップ3ではVoIPと回線交換のハイブリッド利用に対応する。ステップ1とステップ2ではVoIPと回線交換の混在の形は取れないが、ステップ3では外出中に携帯電話から音声で会議に参加するといったことも可能になる。
連携サービスの全体像とマイルストーン。8月から連携サービスは始まり、年内にステップ3まで行く予定という |
販売面では、日本と中国を中心にアジア全域で、それぞれのチャネルを活用していく方針だ。PGiは従来から他社のWeb会議を販売しているが、宮地副社長は「PGiとして今回の提携で一番魅力的だったのは日本で4年連続シェア1位のサービスを販売できること」と語った。また、ブイキューブも最近アジア市場への攻勢を強めており、PGiのグローバルな販売網は大きな力となる。
「VoIPの限界は、特に企業ユーザーにおいては、やはりまだまだある。日本国内のインフラはよくなってきたが、グローバルに展開していくなか、電話という最も枯れた安定したコミュニケーション手段を組み合わせることで、幅広い環境に対応した双方向コミュニケーションを提供していきたい」(間下社長)とのことだ。