実験の目玉は「スマートホーム」
韓国政府が現在、スマートパワーグリッド、スマートプレース、スマートトランスポーテーション、スマートリニューアブル、スマートエレクトロシティサービスの5つの重点分野を設定してスマートグリッドに取り組んでいることは前編で紹介した。今回、筆者が訪問した韓国電力(KEPCO)の広報館では、これら5つのすべての分野について展示・デモを行っているが、なかでも目玉となっていたのはスマートプレースの中の「スマートホーム」である。家庭内の電力使用の見える化や制御、太陽光発電など自然エネルギーの有効活用のデモが行われていた。
スマートホームのデモルームは実際の部屋が再現されている |
スマートホームのキーデバイスとなるのは以下の3つだ。
・スマートメーター
・無線センサーデバイス
・IHD(In Home Display:ホームモニター)
左側にあるモスグリーンの装置がスマートメーター(LS社製)で、右側が配電盤 |
各コンセントの電力使用量はZigBeeセンサーによりリアルタイムで配電盤に送られる |
3つのキーデバイスのうち特に中核となるのはIHDで、次の機能を備えている。
スマートホームの心臓部であるIHD。このIHDから様々な電力制御を行う |
(1)ホームサーバー機能
IHDはハードディスクを内蔵しており、各種データを保存しておける。また、サーバーのため、各部屋に設置した子機(クライアント)とIHDを接続することで、子機からも後述のリアルタイムモニターなどの機能を利用できるようになる。
浴室に設置されたIHDモニター子機。どこからでもモニターできる |
(2)リアルタイムモニター機能
スマートメーターと連動し、現在の電力使用量をリアルタイムにモニターできる。
(3)目標電力使用量(Set Target)機能
月額の電気使用量の目標値を設定でき、例えば1日当たりの目標値を上回ったときなどに「アラーム」を出すことができる。さらにしきい値を超えた際、照明の一部を消したり、冷蔵庫の設定温度を下げたり、洗濯機や食器洗い機のスイッチをオンできないようにしたりなど、使用を制限しても影響のない機器の電力消費を自動で抑えられる。
(4)余剰電力の販売量の自動調整
太陽光発電などにより自家発電した電力の余剰分の販売量を自動調整できる。韓国ではまだ「売電制度」が整備されていないため、現在は「最大0」となっている。今後、法制度の改正により売電が可能になるとのことだ。
スマートホーム用のインバーターと蓄電池 |