韓国チェジュ島で進む大規模スマートグリッド実験(後編)――スマートホームを一般家庭6000軒に展開

イ・ミョンバク大統領の強力なリーダーシップの下、済州島(チェジュ島)で大規模なスマートグリッドの実証実験を進めている韓国。後編ではスマートホームへの取り組みと韓国スマートグリッド産業の課題を中心にレポートする。


(2)関連コンソーシアム間の連携がない

韓国のスマートグリッド関連コンソーシアムには現在、合計150を超える企業が参加している。ただ、実はスマートグリッド関連のコンソーシアムは12団体もあって、しかもそれぞれの連携も図られていないように見える。また、各コンソーシアムはベンチャーの育成に力を入れているが、類似の製品開発が数多く見受けられる。市場の草創期なのだから、もちろん健全な姿ではあるのだが、「もっと集約したほうが効率的なのでは」と思ってしまう。

(3)行政面の対応
今回の実証実験に合わせて「スマートグリッド法」を制定した。今後も必要に応じて様々な法制度が整備されていくであろう。

スマートグリッドは韓国の一大産業へ

今回は時間の都合で通信事業者の実験棟を訪問できず、KEPCOとの比較はできなかったが、基本的なフレームワークは同様のものと推察される。

極めて私見ではあるが、個別の技術については日本のほうが進んでいると思われる。しかしながら、システムインテグレーションを伴う国家的な枠組みでは、韓国の官民における取り組みは日本に比べ、はるかに進捗していると言わざるを得ない。また、CO2の削減という大義名分と国内外でのビジネス展開を目指すという明確なビジョンは、国民からも高い支持を受けており、大統領の強力なリーダシップの下、韓国における一大(輸出)産業に育っていく可能性は非常に高いと見ていいだろう。

次回はぜひ通信系企業の実験棟を訪問できればと思う。

橋本清治(はしもと・せいじ)

IT業界での30年の経験を生かし、某外資系通信機器ベンダー勤務の傍ら、エムアンドエムリサーチを運営。主に海外の通信事情リサーチやベンダーの日本進出の支援を行う。現在は特に韓国のモバイル通信事情を注視している。表面的な事実の調査だけでなく、必要があれば現地調査も行う行動派リサーチャ。“真実は体で確かめる”が身上。コンタクトはinfo@mmrjp.comまで

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