SPECIAL TOPIC通信事業者に真のゼロタッチオペレーションを OSSに求められる8つのKPIとは?

より付加価値の高いサービスをより迅速に、より低コストで提供する――。通信事業者は常にそんな「無理難題」にさらされ続けてきた。模索を続ける通信事業者がある一方、海外ではいち早く開通から運用までの処理を連携させて真の自動化、真のゼロタッチオペレーションを実現し、ビジネス上のさまざまな目標を達成しつつある通信事業者も登場している。

通信事業者のKPI達成に不可欠なエンドツーエンドの自動化を阻む5つの要因

通信業界は、品質を維持しながら通信設備の導入や運用に要するコストをいかに抑えつつ、市場に素早く新規サービスを投入し、収益を確保し、顧客満足度を高めていくかという課題に取り組んできた。同時に、販売や契約に要する間接的なコストの削減も求められている。

一連の課題を解決する最大の鍵が「自動化」であることもまた、多くの通信事業者が認識しているだろう。ただ、部分的な自動化こそ進んでいるものの、通信サービス全体にまたがってエンドツーエンドでの自動化となるとなかなか進んでいない。その背景には5つの阻害要因があるとヒューレット・パッカード エンタープライズ(HPE)は分析している。

1つめの阻害要因は、管理対象となるテレコムネットワークの変化だ。これまでは主に、ハードウェアとソフトウェアが一体となった専用機器で構築されていたが、徐々に汎用サーバーと仮想化プラットフォーム上でネットワークアプリケーションを動かし、時にクラウドネイティブの特長や手法を取り入れたネットワーク化へ変化している。この変化に伴い、運用方法も自ずと変化せざるを得ず、その自動化についても模索が続く状況だ。

2つめの阻害要因は、サービスの開通業務と監視業務が別々になっていることだ。システムはもちろん担当部署も別々で、両者にまたがっての自動化は困難だ。そしてこの状況が、人材のスキルや運用ノウハウもサイロ化し、時にはブラックボックス化してしまうという3つめの阻害要因を招いている。また、こうしたレガシーなシステムを前提に運用モデルとプロセスが作られているため、新たなテクノロジーや自動化を取り入れたくてもなかなか進まないというのが4つめの阻害要因だ。

一方で、5Gネットワークをはじめとする技術革新はどんどん進んでいる。「仕様の成熟や進化に伴ってネットワークをアップデートしたくても、前述のようにサイロ化した状況では、汎用サーバーやOS、仮想化基盤、ネットワークアプリケーションなどのバージョンアップが煩雑になるという5つめの阻害要因があります」と話すのは、ヒューレット・パッカード エンタープライズ コミュニケーションテクノロジー事業本部 テクニカルプリセールス本部 シニアコンサルタントの山本幸治氏だ。

こうした阻害要因が絡み合って、必要性は重々承知しながらも、ネットワーク全体の自動化はなかなか進んでいない。

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